【読書記録】半径5メートルの野望 はあちゅう ★★★☆☆

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半径5メートルの野望

はあちゅうといえば、炎上人材である。
ブログブーム初期に「さきっちょ&はあちゅうの恋の悪あが記」というブログでネット界にデビュー、爆発的な人気を博し、その後スポンサーを見つけての世界一周旅行、電通への入社、トレンダーズへの転職と担当媒体のステマ疑惑などを経て現在に至り、そのキャリアの大半を炎上人材として過ごした稀代の怪人である。

ことにはてな界隈や旧2ちゃんねる界隈での嫌われっぷりと言ったら壮絶であり、その数々の記録は軽く検索しただけで容易に発見できる。

raf00もこれまでは「毎度毎度炎上を起こしてはヘラヘラとしていて、なんなんだろうなぁ…」と思っていたのだが、最近はあちゅうの言動が悪くは感じない、どころかある程度の好ましささえ感じられている。これは何故だ、恋…?いやまさか!
と、よくよく考えていたら、はあちゅうが持つ「徹底的に自分目線の本音トーク。欲求に対してひたすら正直で、それを宣言し行動する実践力」は、raf00にとって好むところであり個人の性質として羨望するところであり、その内容に苦笑はすれども、基本的なスタンスとしては好ましく思っていたのであろう。
ネット論壇にありがちな「政治的に正しいけれど、現実の話としては全く面白みがなく、反論はできないけれどひどく空虚な感想しか浮かばないあれこれ」よりはなるほどよほど好ましい。

というわけで、そのはあちゅうの書籍、「半径5メートルの野望」を読んでみることになったわけだ。

結論から言えば、書籍としての読みどころは少なく、編集も良くはない。彼女が日頃口にしていること、ライティングしている記事、登壇して話していることをまとめ…たようですっきりとまとめられていないものになっている。
だが、退屈する本かといえば全くそんなことはなく、「へぇ、はあちゅうはそんなことを考えていたのか」「これはまぁ本音としてはそうだよね。そんなこと口にしたら絶対燃えるけど」「何だてめえこのやろういやほんとなんなんだこのやろう」と様々な感情を呼び起こされ、あっという間に読み終える一冊だ。読後感としてそれが優れたものであるかどうかはともかく。

本書ははあちゅうの本音であり、活動に向けたスタンスの宣言でもある。賛否否否否否否否否ある彼女のスタンスとして納得ができるものだ。多くの「正義を語るネット住民」が燃えないこと、ケチをつけられないこと、失敗しないことなどを全て満たすために「行動しない、前に出ない」というアクションを選択している中で、はあちゅうは公に口にするとそれだけで燃えるようなガソリンでどんどん前に進んでいく。それに対して正義を語るネット住民がケチをつけまくってはいるが、前に出ているんだからはあちゅうの方が先を行くのは当然のことだ。「本音と実践」を好む層であっても、「燃えたくない、失敗したくない」などの感覚が強く出るのであればどうしても歩むペースは遅くなる。こちらもはあちゅうに先を行かれるだろう。

また、最近話題になっている藤沢数希の「恋愛工学」との関連性も面白い。
この藤沢数希とはあちゅうが対談している企画があり、この対談の中で「セックスをゴールとして、女性を経験値を積むための道具のように捨てていく」藤沢数希のスタンスに対して強く反発する姿勢を見せているのだが。

『ぼくは愛を証明しようと思う』発売記念対談 「恋愛ってなんだろう?」 – 幻冬舎plus
「半径5メートルの野望」の中で、はあちゅうは自己を高めるための方法としてこんなスタンスを選択している。
「ずっと同じ人と一緒にいないようにして、常にいまの自分よりも上の人と付き合うようにする」

おお、それって恋愛工学と全く同じじゃないか。というか、本当に全く瓜二つなアティテュードじゃないか。

というわけで、はあちゅうを見る目がより深くなる一冊。
正直、童貞的視点ではあちゅうを批判する某村層に対しては熟読を求めたいが、多分読んでもキレるだけなので読まなくて良いです。