【読書記録】神様がうそをつく。 ★★★★★★

スポンサーリンク

神様がうそをつく。

@kanoseさんが紹介していた単行本1冊完結の小連載を購入、即読み、即読了。

名作です。問答無用で良いので読むべきです。

講談社サイトで第1話がブラウザで読めるので、まず読んでみてください。で、引き込まれたらそのまま全部を読んでください。
以下の能書きなんてどうでもいいですから。

神様がうそをつく。 / 尾崎かおり – アフタヌーン公式サイト – モアイ

とはいえ書かないことにはどうにもならないので書きますと。

東京から転校してきたサッカー選手の夢を持つ11歳の主人公なつるは、大人びたクラスメイト理生に出会い、彼女が弟と二人だけで暮らしていることを知る。そして夏休み、チームの新任コーチとソリが合わないなつるは理生の家に招かれ子供だけの同居生活を始める。お化け騒動に夏祭り。なつるは理生を好きになっていく。

…とここまでは環境に恵まれない少年と少女の青春物語。ここから話が転調し一気に重みが増します。庭から見つかった白骨死体、理生が純粋に信じていた父の裏切り、いつまでも続くはずがないとわかっている逃避行のあっさりすぎる終わり。ご都合主義もなく、因果応報もなく、話は流れます。2人に降りかかった状況をどうすることもできません、だって2人とも自分ではなにもできない11歳の子供だから。

心底腹が立ち、どうにも重く、どうしようもなく辛い。
そんな物語であるはずなのに、この作品は驚くほど気持ちの良いものを残してくれます。

「奪われた子供たちの物語」「ボーイミーツガール初恋逃避行」「子供に降りかかる社会はドラマ」。本作はマンガや小説の様々な物語で繰り返し語られた、非常にベタな類のものと言えます。
そうしたものは大概「子供である自由を奪われた少年少女が一連の物語を通して成長していく物語」であり、屈折した少年or少女が徐々にデレていく、そんな展開になりがちですが、「神様がうそをつく」のなつると理生は、そんな環境にありながら実に素直に、気持ちよいくらい11歳らしい11歳として描かれています。なつるにとっての理不尽は「コーチの性格が悪くてムカつく」という程度であることだったり、圧倒的にハードな環境を強いられている理生が、そんな中でも屈託なく笑う姿だったり。

なつるの母りっちゃんの不完全だけど絶対的な愛情や、クラスのリーダー格姫川さんが(実はむしろ好意的ですらあるのに)悪役扱いされる子供らしい立ち位置など、キャラクターの描き方が巧みで、重い話なのに爽やかに読ませてくれるんです。

あぁ、Amazonでも読書メーターでも絶賛されており、その絶賛っぷりに納得です。
一方「このマンガがすごい」にこれが入ってなかったのはどういうこった?魔法使いの嫁なんて入れてんじゃねえよ…と改めて信用ならねえなと感じます。

いやぁ、いいマンガに出会いました。それも本格的な夏の始まりをリアルに体感した週に、こんなに切ない一夏の物語を読むなんてもう。