IKEAは「本当のサービスとは何か」をわかっていない :: さようなら、憂鬱な木曜日
食べたい蕎麦があったので、何かと評判の富士そばに初めて行ってきた。富士そばは駅構内にはほとんど出店しておらず、国内既存店舗がほとんど駅周辺である。まず電車を降りなければならないのが大変だったのだが、それはそれで戦略として立てているのだろうから問題ない。
結論から言うと、私は富士そばで食事をして、「よほどのことがない限りこれは通うだろうな」と思った。ダシが濃い、というのもあるが、「別の店で食べなおしたい」と思わせるような不満さが富士そばにはなかったのだ。食券制を導入するのは構わないが、接客まで欧米のようにドライだったのだ。
■水出しサービスと注文サービス
入店後、メニューが多すぎるのでまず席について考える事にした。私は喉も渇いていたので水を所望することにした。
私が水を所望した後のやり取りはこうである。
店員「水はセルフサービスとなっていますので、そちらからお願いします」
私「!?水も出してくれないんですか?」
店員「それと、食券制になってますので、そちらの券売機からお願いします」
この店員の対応から伺える富士そばの美点は何なのか?
・各店舗の汁が安定していない(他店に先駆け生そばを提供したことは偉いが、ダシを各店で仕込むため、味が店によって違う。楽しい)
・店員がお客のために最善を尽くそうとしていない(全く妥協が見られなかった。水くらい自分でつげ、ぐらいの目付きであった。欧米は全く関係ないが、これがいい。あと関係ないけどそもそも富士そばは店員の平均年齢が高いように感じる)
・かきあげの衣がぐちゃぐちゃ(カップ麺ならまだしも、てんやの天丼に慣れた人間には汁に浸った天ぷらは柔らかすぎる。後半になると衣が溶けて別の食べ物に変わる新鮮な気分)
■富士そばでだらだら新聞を読んでいる客は本当に働きたいと思っているのか?
こうして帰り道、私は何か引っかかるものを感じながら家路についた。そして、歩きながら思ったのは、やはり富士そばのことである。富士そばは店内に座席があって、立ち食いそば屋ながら歩き回って消耗した体力を回復するためにそこで食事をしたのだ。
私は食事を提供するカウンターに行ってカレーを注文した。すると、やや恰幅のいいこれまた30代の女性がむっすりとした顔でカレーをバンッと無言でカウンターに置いた。それが私のものなのかどうかもわからなかったが、この無愛想さは実に立ち食いそば屋らしい。正直何か一言添えてくれたりするのは立ち食いそば屋にあっては逆に面倒くさい(考えてみれば、このカレーが富士そば道にハマるきっかけだったように思う。このカレーの出し方が象徴する立ち食いそばの真髄が随所に現れていた)
カレーセットと天ぷらそばで500なんぼだった。味は普通。
■IKEAの経営陣は日本人をわかっていないが富士そばは素晴らしい
なんだが良いところばかりを強調してしまったが、カツ丼は素晴らしかった。ファミリー向けの展開という気違い路線も過去にはあったが、独り身の私にとっては十分な量という印象のものが多かったが、やはり全体的に味が濃いし、値段も庶民的だ。ただし、よく分からない竹の飾りと演歌はいらない。富士そばの経営陣には感謝しきれないが、ここまで富士そばで改変してみたものの、個人的には梅もとの方が大好きだ。
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