「格差社会」という言葉がいろいろを歪ませる

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JR九州の「ななつ星」豪華列車ですか… 格差社会の象徴にしか見えません – 弁護士 猪野 亨のブログ

弁護士先生が「2人利用で110万円」の豪華周遊列車にケチをつけているようです。この格差社会にあって大量の預金を持つ高齢者が浪費をするのはとても醜いのだそうで。

格差社会!格差社会!贅沢は敵!贅沢は憎むべきもの!

ああ、確かに我々働いても働いても年収一千万など見えてこない平均層にとって、この格差社会は大変に厳しく、そこから逃げ切った老人たちに嫉妬はしています。なんと羨ましいことか、なんと憎ましいことか。

しかし、その金持ちどもがくだらない消費をしてくれなかったら、金の流れはどうなってしまうというのか。
「格差社会」という言葉が使われるようになって以来、過度の浪費に対して冷たい視線が注がれるようになりました。ライブドア堀江さんの一件以来、「金のための金」という考えはひどく辛いコメントが浴びせかけられるようになっています。生まれ持っての金持ち政治家がその身の丈にあった暮らしをすれば叩き、慣れぬ庶民の物価を間違えればけなす、そんな光景だって我々は目にしています。

しかし、金持ちどもが金を使わなかっとしたら。
金持ちどもが浪費をせず、その金を貯めこんでしまったら、有意義な投資をしてさらに金を集めてしまったら、一体どうなってしまうのでしょうか。

それよりはこんな地方の遊びに金をドカンと落としてくれたほうがよほど格差を是正する役に立ちます。少なくともJR九州という我々平民たちが日常利用するような企業に益をもたらし、運営の手助けになるならそれは素晴らしいこと。

この弁護士先生は何を言ってるんでしょうか?金持ちのところに延々金を集めさせよう、経済の流れを絶ちみんなで貧乏になっていこうとでも言うのでしょうか?
さて、「格差社会」。
もう一方でこの「格差社会」に対する反発が歪みを起こしている話題が最近ありましたね。
阪急阪神ホテルズのレストランが提供する47品目で偽装表示をしていた一件。あれがきっかけとなってその後様々な場所で表示を変更する動きが見られているようですが、これもまた「格差社会に対する妙な反発」の一例であったのではないかと感じています。
つまり、食事にそれほど金がかけられないにも関わらず、豪華な食事をしたいという我々平民たちの要望が強く働きすぎ、飲食がそれに無駄に応えてしまったのではないかと。

つうかよくよく考えると九条ねぎ多すぎねぇかと。どんだけ芝海老消費してるのかと。そういう高級食材をなんでそんなに安価に食べられているのかと。
「格差社会」という言葉がやたらと語られる背景には、かつて日本が「総中流」と呼ばれていたことがあるのではないかと考えています。「総中流」という言葉は崩れ去ってしまいましたが、しかし「格差社会」の底辺にいるとは認めたくない。だから食べるものにもできれば肩書きがほしい。「市販ジュース」よりは「手絞りジュース」を、「白ネギ」よりは「九条ネギ」を。実は中国産のブレンド麺を「やっぱり信州そばは違うわねぇ」と食べたいのではないかと。
本当に偽装をやめて欲しいのか。激安回転寿司で「よくわからない深海魚」「脂を注入した混ぜ物軍艦」が食べたいのか。「スーパーで買った肉で作ったやわらかハンバーグ」を好んで食べたいのかと。

我々は格差社会であると訴えながら、底辺にいるとは認めたくない。そして上流にいる人達は憎むべき存在になっている。今回リッツカールトンが「日本には特殊な事情がある」とコメントしていましたが、そういうことがあるんじゃないかと。

なんかこういろいろ、切羽詰まってきたなと感じます。