ブロガーサミット2013 今、「誰でも情報発信ができる」ことについて

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さて、9月はほとんどブログが書けなかったのですが、忙しかったという他に一つ大きな悩み事をしていて結局その答えが出なかった、というのがありました。

昨月、ブロガーサミット2013というイベントが行われました。1000人に近いブロガーが集まり、1時から6時まで非常に長い時間にわたって、ブログに関するパネルディスカッションが行われました。
そのレポートに関しては下記をご覧いただければと思いますが、

[徳力]ブロガーサミットを終えて。ご協力頂いた方々への感謝とお詫びと本音トーク。
ブログ10年、無責任な記述とステマ幻滅で社会と壁 :日本経済新聞
やっぱり楽しかったブロガーサミット2013まとめとレシピブログのブロガー施策のすばらしさ:[mi]みたいもん!

その中で2点、「今、『誰にでも情報発信ができる』ということについてどう考えればいいのか」、そして「ブログって、ブロガーってなんなのか」ということについて考えこんでしまったのです。
一ヶ月あれこれと考えていたのですが、まぁそろそろこの話も終わりにしましょう、ということでこれを書いて次に進みたいと思います。

 

■「誰にでも情報発信ができる」

このブロガーサミット2013ですが、主催者である徳力さんは「情報発信することは一部の人にしかできない特殊なことではないことを皆で再確認する」ためのイベントと位置付けられていました。情報発信を行い続ける多くのプレイヤーが集まり、その思いを言葉にしていましたが、この「誰にでも情報発信ができる」というメッセージが2013年に、ブログ10周年のこのタイミングで出てきたことに対し、強い違和感を感じたのです。
ブログが登場して10年が経過しました。そして1997年にインターネットが一般化してからは既に16年が経過しています。「誰にでも情報発信ができる」というメッセージは、思えばその1997年からこちら、一貫して登場してきたメッセージでした。個人サイトがあり、掲示板ブームがあり、ブログが登場し、SNSが世界を席巻し、テキストに限らず様々な情報発信が可能になり、SNSの中でもTwitter/facebookという手軽で世界規模のサービスはたくさんの情報発信のツールをつなぎ、新しい方向を示しました。
16年、常に「誰にでも情報発信ができる」というメッセージはあり続けました。そして黎明期から問題は常に付き纏っていましたが、近年に入り「カジュアルに情報が発信できすぎる」ことによって、社会を巻き込む極めて大きな問題が発生するようになっています。
昨今連続して発生しているバイトやらかし炎上事件などはその象徴で、情報の発信や拡散がもはや「それを望まない人たちにとっても起こり得る」時代になってきていると言えるでしょう。
「インターネットと個人」も大きく変わってきていますが、企業も例外ではありません。懐かしい時代のインターネットは「インターネットで情報を発信すればブランディングに有利」と言われていましたが、これが特別なことでなくなった今は「各社がインターネットで情報を発信する中、埋もれてしまわないために何をすべきか」を考えるステージに入っています。もはや「情報発信ができる」ことはメリットではなく、「情報発信が当たり前の世の中でどう生きるか」を考える必要があると感じています。

さて、そんな時代にあって「誰にでも情報発信ができる」ことを今考えるべきでしょうか?
パネルディスカッションで佐々木大輔(@sasakill)さんや清田いちる(@kotoripiyopiyo)さんが言及された「ステマ」を代表に、この10年で「ふわっと始めると嫌な思いをする」課題は数多く存在します。そして「インターネットのメリット」ばかりが語られる中で、これらの課題は一向に解決していません。
ばかりか、下手を打てば大炎上のリスクを抱えながら、それら炎上を避けるためには膨大な知識と経験を必要とし、メディアを扱う者として日々相当量の勉強を必要としながらも、我々(この界隈の趣味でネット情報やマーケティング情報を収集する変わり者たち)は「リテラシーを付けなきゃだめよねー」とライトインターネットユーザーのことを顧みていません(顧みても膨大な知識と経験が必要なことには変わりないのですが)。
今この時代で、父や母、中高生に「誰でも情報発信ができるよ!君も始めなよ!」と無邪気にメディア化することを薦められるでしょうか?

ブロガーサミット2013は良いイベントでした。とても楽しめましたし、いろんな人にもお会いすることができました。しかし、このテーマについてはいろいろと考えさせられるものがありました。

 

■ブログってなんだ、ブロガーってなんだ

「ブロガーサミット」というブロガーが集まってブログについて語るイベントでありますが、これまた感じたのは「ブログとはなんぞや?」「ブロガーとはなんぞや?」ということ。
各セッションでパネリスト紹介の際にも「あなたにとってブログとは何ですか?」という質問が投げかけられ上手く答えられない人が続出していましたが、日頃ブログ論を読んだり書いたりする中でもなかなかに難しいポイントであると思います。

思うに。
徳力さんが「ブロガーとはドライバーのようなもの」とブログに書かれていましたが、ブログ・ブロガーというものはそれよりもさらにぼんやりしたものではないでしょうか。
「ブログ」と簡単にまとめてはいますが、「情報発信媒体としてメディアとして活用されるブログ」や「アフィリエイトを主眼として、広告のためにコンテンツを作る個人アフィリエイトブログ」、「企業のインバウンドマーケティングに用いられる(社長ブログや広報ブログ的な)企業ブログ」、「オピニオンメディアと自称する成り上がり目的のブログ」「日記的に書き続けている個人ブログ」「ソーシャル的に活用される交流目的のブログ」などなど、パッと思いつくだけでも数多くの「ブログ」が存在し、これらは立ち位置や方向性、目指すべき方向が全て異なっています。
これらの立ち位置で共通するのは「ブログを利用していること」のみであり、そこを定義のポイントとするのであれば「ビデオブロガー」は「ブログ」とは呼べず、それも含めて「ブロガー」とするのであれば、静的なWebサイトで更新されているテキストサイト運営者はブロガーではないんかとか、Twitter/facebookを使っている人はブロガーじゃないんかとか、Naverまとめでほぼオリジナルコンテンツを作っている人たちはどうなんだとか、あれこれ広がっていってしまいます。
また「ブログの功績」についてotsuneさんが問われて答えてらっしゃいましたが、初期のブログ界隈はテキストサイト運営の延長線上にありましたし、ソーシャルでの言及→議論→まとめなどの一連の動きとその最終成果物はブログ界隈(というのがまた曖昧極まる言葉ですが)で培われた流れを継承してもいます。

ブログって何なのか、ブロガーって何なのか。
「ぼんやりした存在にしておきたい」という気持ちはわからんでもないわけです。黎明期は自由な発想で今まで考えなかったようなジャンルが生まれてきますし、変な区切りをすることはその可能性の芽を摘むことになりかねません。あっちにもこっちにも手を出したいし、勝手に区切られて「この分野なのに領域を侵犯するな!」とかあれこれ言われたくない、っていう気持ちもあります。その自由さこそ「インターネットである」と認識する向きもあるでしょう。

ただこう、もう10年経っており黎明期ではないのです。黎明期ではないというのにぼんやりとした中で好き勝手してきたことで、成熟した情報発信の場に伴う様々な責任について徹底した議論が行われないまま10年経っちゃったなぁ…と感じています。「個人ブログ」であるのか「情報メディア」であるのか、「媒体と個人」の差はどうであるのか、それらを明らかにしないまま「ブログ」について語る危険を感じます。ましてブログ界隈というのは「金や野心を公にするのを嫌う場」であり、表では「いやぁ毎日ブログを書いていたらこんな凄いこと起こっちゃってさぁ。でもほら、僕はあくまで個人なんで」などと綺麗事が呟かれますが、んなこたぁあるはずがなく、「野心を持ってブログを書いていく上で、そのステージごとに守るべき一線」が真面目に語られるべきであったと、そう思っています。

 
という感じで、ブロガーサミット2013は楽しいイベントでした。行ってよかったと思っています。しかし、次の節目があるならば、その時はもっと成熟した議論が行われている世界であってほしいなと思いますし、また自分もきちんと向き合っていろいろを考えて行きたいなぁと、そんなことを思ったのであります。

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