ピレリを中心とした騒動は続く。テストゲートは法定にて正式に処罰が確定したが、イギリスグランプリでは再び大きな問題が発生。今年のグランプリ、そして来季のタイヤはどうなるのか。
■レース前展望
信用を失ったピレリに対し各チームの反応は冷たい。タイヤ改善にも反対され、来季契約も確定しないまま、国際法廷へ。最終的にはメルセデスが自主提案した若手ドライバーテストの不参加、ピレリに対しては戒告で終わったが、まだまだ火種は尽きそうにない。
また、イギリスGPを前に今年ベッテルとの確執が起こったマーク・ウェバーが今年限りの引退を発表した。レッドブルは早速キミ・ライコネンに関心を持っていることを表明したが、さてどうなるか。
■予選
雨のフリー走行から迎えた公式予選。晴天に恵まれるも、テスト不足から各チームに混乱が見られた。フォース・インディア、トロ・ロッソが健闘する中でフェラーリとロータスは一発に苦しみ、マッサがQ2で脱落。Q3では予選の本命レッドブルとメルセデスが驚異的なスピードを見せ、まずロズベルグが出したタイムを約0.5秒突き放すコースレコードでポールポジションを獲得。レッドブルも好タイムを出すがメルセデスには敵わず、3-4となった。ベッテルを追いかけたいアロンソ・ライコネンは9-10位からの追い上げに。
■決勝
決勝は晴天。むしろ高すぎる温度でタイヤの心配がされる中でのスタートとなった。
スタートでまずロズベルグとウェバーが大きく遅れる。ウェバーは接触しフロントウイングを破損、行く手を阻まれてアロンソも大きく順位を落とす。一方でライコネンとマッサが大躍進、予選での失敗を取り返す。
8周目、トップを快走していたハミルトンのリアタイヤが突然激しくバースト。クラッシュはしなかったもののほぼ一周を3輪走行し大きく順位を下げる。さらにマッサ、ベルニュも全く同じ左リアタイヤをバーストで失う。この異常事態にセーフティーカーが導入され、コース上にばら撒かれたデブリを回収することに。
この間に多くのマシンがタイヤを交換したが、再びバーストが起こるだろうことは全員が想像していた。
レース再開後はベッテルが独走、ロズベルグがこれを追いかけ、ライコネンアロンソが順位を上げていく展開となったが、今度はグティエレスの左フロントタイヤがバースト、フロントウイングごと撒き散らしていく。
後方からはタイヤをバーストさせたハミルトンとマッサが鬼神の追い上げを見せている。
42周目、トップを走るベッテルが駆動系のトラブルでスローダウン、ホームストレートにマシンを止め、これにより2度目のセーフティーカー導入となった。
この時点で上位ではトップのロズベルグ・ウェバー・アロンソが最後のタイヤ交換、ライコネン・マクラーレンの2台はステイアウトを選択した。レース再開からとてつもない走りで順位を挙げたのはウェバーとアロンソだった。5台をゴボウ抜きして表彰台を獲得、またその後ろからさらに気合の走りを見せたのは、一度は最下位に沈んだハミルトン。また最後にはペレスが序盤と全く同じような左リアタイヤのバーストで姿を消している。結果、ロズベルグがモナコに続く優勝を記録、0.7秒に迫ったウェバーがこれに続いた。
■レース感想
何よりも「決勝で全く同じようなタイヤバーストが5回も発生した」ということが注目点と言える。
急速なタイヤ摩耗などはこれまでにも見られたが、突然予兆もなしにタイヤがバラバラになるという事態は過去に例がなく、クラッシュが起こらなかったのは本当に幸運だったとしか言いようがない。
テストゲートで大いに揉めたが、これはそれどころではないトラブルであり、今後さらなる問題に発展すると考えられる。
またポイントリーダーのベッテルがリタイヤしたことで、このレースの終盤だけでなく今後のチャンピオンシップが盛り上がることになった。ベッテルとアロンソのポイント差は22点に縮まり、逆転の目が見えてきた。メルセデスも中盤からレッドブルを凌駕する速さを獲得しており、独走を許さなくなっている。
次戦ドイツGPはベッテルが不得意とするサーキット。さらにポイント差が縮まると後半戦は面白くなってくる。
■チーム別評価
・レッドブル
盤石の構えで望んだイギリスGPだが、42周目にベッテルが駆動系トラブルでリタイヤ。チャンピオン獲得に向けて突き放せるはずだった25点を失った。一方で今回引退を発表したウェバーはスタート時のトラブルを挽回し、見事な2位を獲得。コンストラクターズポイントを積み重ねた。
依然として最強のチームであることには間違いがなく、今回のような取りこぼしが続かない限りは展開が変わりそうもない。
・フェラーリ
予選こそ悪かったものの、アロンソ・マッサともに最善を尽くし3-6位を獲得。終盤フレッシュタイヤで強烈に順位を上げたアロンソも、タイヤバーストを起こしながら最終的に6位を獲得したマッサも、共に素晴らしい走りであった。
チームとしてのポテンシャルは現在レッドブルとメルセデスに劣り、ロータスとポイントを分けあってしまっている。
・ロータス
序盤で魅せた強さが陰る中盤戦。ライコネンはスタートでジャンプアップするもスーティルに手こずり、アロンソに抜かれるなど精彩を欠いた。2回めのSC導入時に「ステイアウトしていても大丈夫なの?」「もう遅い」というやりとりがあったが、ここにきてライコネンのコミュニケーション面での不安要素が顕在化してしまった感がある。クラッシャーグロージャンは今回も危ういレースをしたが最終的にリタイヤした。
・マクラーレン
苦しんだ序盤からやや立ち直り、ポイント獲得争いには復帰したものの、上位4チームとの差は依然大きい。レース中編隊走行になることが多く、チーム同士でのバトルが多く見られる。今回もその展開が続き、最終的にはペレスがリタイヤ、バトンは13位完走とポイント獲得に至らなかった。
・メルセデス
タイヤの扱いに慣れ、圧倒的な速さが決勝でも見られるようになった。スタートでしくじったロズベルグが優勝、タイヤバーストを起こしながら4位まで返り咲いたハミルトンの走りは見事。何事もなければ最も速いマシンになりつつあり、後半戦の展開次第ではチャンピオンシップ争いに関わってきそうだ。
・フォース・インディア
スーティルが終始上位を走行し最終的にも7位完走、ディ・レスタも9位完走のW入賞を果たした。立ち上がりと最高速の速さにより、他車が抜きにくいため、上位を走行していると安定感がある。ここから得意なサーキットが多いため、さらにポイントを稼いでいきそうだ。
・ザウバー
混乱のレースの中、ヒュルケンベルグが1ポイントを獲得した。グティエレスはタイヤバーストにより14位に沈んだが、苦しみ抜いている今年のレースの中では努力が実を結んだレースだった。しかしトロ・ロッソとくらべてもペースは遅く、ポイント獲得は運次第だ。
・トロ・ロッソ
予選・決勝で速さを魅せた。リチャルドが8位を獲得している。ベルニュは早々にタイヤをバーストさせ姿を消した。ペースは確実に向上しているが運がなかった。
・ウィリアムズ
ザウバーと並んで苦戦を続けるウィリアムズ。600戦目の記念すべきレースだが、見せ場は特になく11位・12位完走。
・マルシャ/ケータハム
15位から18位までにマルシア・ケータハムが並んだ。特筆すべきことはない。来年も同じ体制で走れるのか?
コメント
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あしたよむRT @raf00: ベッテルがリタイヤしたから楽しいレースになった。しかしどうするんだろう、ピレリタイヤ。 / “2013年F1GP第8戦 イギリスGP — 乱れなよ、そして召されなよ” http://t.co/n8JbsMvPMb
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