Gunosy/ハフポ/Cakes WEBサービスの今についてあれこれ思う

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しばらくブログを放置してしまったので何か書かねばなりますまい。

さて、ここしばらく「新しく話題になるWebサービス」というものが控えめで、新サービスを解剖してはアクセスを集められているネット系ブロガーの皆様におかれましては若干のストレスを抱えられていることと存じます。
しかしこうね、「新しいサービスとはこんなんだ!」とか「新しいサービスはどのような成長をするか!未来はどんなんだ!」といったブログエントリは多かったり、サービスが終わって話題になってから「○○は何がいけなかったか」「○○の終わりの始まり」などと完全に救われない状態でエントリが濫発したりするのですが、ある程度落ち着いていてみんなの視界の外にいっちゃってる時に語られることって少ないじゃないですか。

ってなわけで、始まりからずっと様子を眺めているいくつかのウェブサービスなどの現状に対して思うところを書き散らしていきたいと思うわけですよ。これらがまた少しでも語られて注目する人が一人でも増えればいいなと願いつつ、中の人に知り合いがいてもそれはそれとして!って気分で率直に。

 

■“話題になってブレイクしたか”Gunosy

いきなりつい先月話題になったサービスを取り上げるのもどうかと思うんですが。
なんかねー、「Gunosyははてブのパクリだ!」みたいに批難する気満々で取り上げた人たちの思惑は大いに外れて、「ネット大好きなこの界隈」でも結構ユーザー増えたんじゃね?っていう肌感覚があります。
RSSリーダーの巨塔Googleリーダーが今月で終わったり、NAVERまとめがさらに勢いを増していてなんだかお腹いっぱいになったり、はてなブックマークは相変わらず好事家しか使わなかったりする中で、「手っ取り早く話題のニュースをチェックする」というこのツールの需要はさらに増していくのではないでしょうか。
なんだかんだとGunosy掲載効果でアクセスが急増するブログも出ているようですし、掲載媒体に利するのであればケチを付ける必要もないので応援していきたいと思います。

■“白河の清きに魚も住みかねて もとの濁りの田沼恋しき”ハフィントン・ポスト

次、これも比較的新しいハフィントン・ポスト。こちらはサービス開始から一ヶ月が経つので、そろそろ言及しましょうか…ってところだったのですが、やまもといちろう氏も一ヶ月静観されていたようですね。
鳴り物入りで日本に進出し、大きな話題にもなりました。その後、「意外と穏やかな中、そこそこにコメントも付いている」といった状況ではあるのですが。

なんかねぇ……完全に空気になったよね。
あれ以来、話題になる記事がでているわけでもなければ、コメントも毒にも薬にもならないものばかり(単発コメントで終わってばかりで、議論になるような展開があるわけでもなし。記事投稿者がコメント欄で反論する…というのはついに見つけることができず)。
ニュースが読みたければそれこそ朝日新聞デジタルやロイターのサイトで読んだほうが情報充実、変な能書きもなくニュースをきちんと消化できるし、「どんな感じで受け止められているのかな?」と調べたかったらネットヲタク方向ならはてブを、ゲスい方向だったらYahooニュースを眺めていたほうが得られるものが多いと感じられます。

一方、(アグリゲーターとしてのニュース転載は至極どうでも良いのですが)、オリジナルの考察記事に関しては決して品質は低くありません。WEBの文章品質から言えば平均点はすこぶる高く、新書レベルの文章で綴られたものが多いですし、その考察もきちんとしたものが多く見られます。コメントに関しても脊髄反射な一行コメントではなくしっかりと記事を読んで書かれているのだなぁという雰囲気は強く感じられます。
なのに、なんだかインターネットの中でハフポの記事が活き活きとしたものに感じられません。広がりがなく死んでしまっているようです。なんとももったいない。

この死んでいる感は全て「左寄りのポジティブな言論空間を作ろう」という、ハフィントン・ポストの在り方がそうさせているように感じられてなりません。そしてそれは、「失策」の結果としてではなく、「その方向性が成功してしまっているから」なのでしょう。
はっきり言ってハフポジャパンの中の人は猛烈に優秀です。ウェブでメディアを作るならこの人を引き込みたい、と思いつく上位の人達が(具体的に名を挙げられる範囲でも)半数ほどいます。そしておそらく彼らは自身のミッションをそれぞれ達成できているのだろう、とも思います。

が、その優秀な人達が達成すべきミッション自体が、今日の日本のインターネットの中で広がりを持たないものになっているのではないでしょうか。そもそも米国でハフィントン・ポストが成功した要因として以下が挙げられます。

1)ブログというまだまだ新しい手法において、一極集中型のメディアをいち早く構築し得た
2)既に一定の勢力を持っていた保守系ニュースサイト「ドラッジ・レポート」に対抗するリベラルメディアとして成立した
3)アリアナ・ハフィントンという求心力のあるセレブが中心となって動いた

1に関しては言うまでもなくブログの初期ブームははるか昔に終わっており、それどころか既に「ソーシャルが一般化し、政治家・芸能人・他著名人たちがTwitterなどで直接メッセージを発信している」時代ですらあります。ハフポのコメント欄が各種ソーシャル系サービスに連携していることが明らかなように、既に「1ヶ所で広がりが完結する」時代は終わっています。
また、2のように「地の利」を活かしたサービス展開が出来る土壌でもありません。というか民主党政権が散々に終わったタイミングで「リベラル!」って言うのも……未だピリピリしたムードの中で「ポジティブな原発に関する議論を」って願うのもさすがに無理があるわけで……。
そして3。ハフィントン・ポスト成功にあたって、アリアナ・ハフィントンというカリスマがメディアの顔として立ち回ったことはすごく重要です。情報が有り余っている中にあって、常に外部に存在を主張し目を向けることは必須と言えるでしょう。現在のハフポジャパンにそれができているか…ネット活動をする中でハフポの存在に気付けているか。

「良質な記事を発信し」「ポジティブな議論ができる空間」を作ることに関しては見事に達成できています。ブロガーのスカウトもさすがと唸るレベルで行われています。
しかし、ハフィントン・ポストがハフィントン・ポストであるうちは空気で在り続けるでしょう。
文章の品質は高いもののグッと議論をしたくなるような論調にはなりにくいですし、強めのコメントも書けないととなればコメントの発展性に欠けますし、そんな無難な文章はWebでは広がりにくいものです。

「白河の清きに魚も住みかねて もとの濁りの田沼恋しき」という寛政の改革を皮肉った落首がありますが、インターネットのメディア特性はこういう「濁り」にこそ強みがあります。その濁りが2ちゃんまとめのような心底残念なインターネットを生み出してはしまうのですが、しかしハフポのような潔癖なサービスを見ていると、なかなかこれを駆逐しえないものだなぁと感じられるのです。

■“コンテンツが充実するほどわからなくなる”Cakes

記事を書かせていただいた身で偉そうにサービス説明すんな!って感じで、むしろ書きにくいサービスなのですが。
しかしやはりCakesというのは一昨年から盛り上がり始めた「有料コンテンツサービスの新しい形の一つ」であることは間違いなく、今後さらに発展してほしいと願ってやまないので、今Cakesに対して思うところを率直に書きますと。

オープンから半年、グッと来る執筆陣が続々参加し、月600円でこれらが全て読めるという贅沢な環境になってきています。大槻ケンヂ氏や二村ヒトシ氏、そして孤独のグルメ第3シーズンの放送を前に原作者の久住昌之氏も連載を開始するなど、カネを払うに惜しくないメンツがフロントにいますし、あずまん、メイロマおばさん、中川淳一郎、岡田斗司夫、岡田育などのネット著名人も精力的に連載を続けています。
また、iPhoneアプリも公開され、これが非常に見やすいため大変重宝しています。

が、なんというかこう……記事が充実してくればくるほどに「どこ向けなんだろうこのWebマガジンは…」という感覚が強くなってきています。よく言えば「ある意味インターネットらしいフリーダムな場」なのですが、記事一覧を眺めていると「SPAと文芸誌と専門誌をごったにしてオサレに並べました!」感が強く、知識興味の範囲も見れば見るほど見えてこない。
対象年齢は「30代向けなのか40代向けなのか50代向けなのか……全年齢対象というには大槻ケンヂ・岡田斗司夫・唐沢なをきのメンツはないよなぁ…そしてひふみんかぁ」と思えますし、小説の読み方やビジネス知識と彼女写真・夜遊び情報とガジェットネタが並び、内容としても「気合の入った4000字のオリジナル原稿」とマンガ小説のお手軽ダイジェスト、そして雑誌記事が一つの媒体として並列に表示されるので目がクラクラしてしまうのです。

この乱れっぷりはすっきりまとまれているようなiPhoneアプリにも現れています。iPhoneアプリは横方向にスワイプすることで書くカテゴリ毎に記事一覧を見ることができるのですが、このカテゴリ数はなんと20項目。「IT」カテゴリにたどり着くためには画面を18回スワイプしなければならないのです。これはちょっとすごい。

おそらく多くの購読者は「決め打ちしている著者の作品を中心に見て、あとはほとんど読むに至らず終わっている」のではないでしょうか。コンテンツのフリーダムっぷりは魅力なのですが、オープン当初から一貫して「記事一覧」が弊害になっているように思えます。ジャンルや時系列を大胆に無視したパネルレイアウト、百害はあれ、「一見しておしゃれっぽく感じられる」他メリットがありませんよね。

CakesのUIは本来の意味での「インデックス」があまりにも軽視されすぎているように感じられます。
ジャンルごと、感心の分野ごと、掲載時期ごとにきちんと目次を整理しユーザーを誘導する、魅力的なコンテンツに辿りつかせること。これは「編集」の重要な要素ですが、これが完全に仕組み任せになってしまっています。
(インデックスとして活用できるだろう「Cakes通信」も記事一覧の中に埋もれてしまっていますし)
自動最適化記事一覧を捨ててもっときちんと手を入れた体裁を作ったら「WEBマガジン」として魅力的になるのに…と思えてなりません。記事一覧の概要部分も書き出しをそのまま使うのではなく、50文字のキャプションをきちんと書けるようにするとか…。

Cakesはもっと多くの読者が集まってもおかしくないサービスですし、岡田育さんが婆さんになるまでCakesで連載を続けて欲しいなぁと思ってもいるので、すごく、すごくもったいないなと思っているのです。

あとこれはCakesにかぎらず最近の新しいサービスに多いのですが「非ログイン画面ではサービス説明や登録のための枠を設ける」などの新規登録者の誘導用遷移がないものが多いですよね。これまたすごくもったいない。

 

と、サービス3つに対して思っていることを書いていたら長くなったので、最近の有料メルマガとかクラウドファンディングとかそのあたりはまた別途書き散らしたいなと思いますよ。

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