2013年F1GP第6戦 モナコGP

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伝統のモナコGPが今年も始まる。とはいえ、近年のオーバーテイクの増えたF1の中にあっては「最も追い抜きが少なく景色以外におもしろみのないレース」と思われる向きもある。
今年はどのような展開になるだろうか。

 

■レース前展望

モナコGPの前週、ホンダがマクラーレンに対して2015年からエンジンを供給すると発表。これによりしばらく途絶えていた日本メーカーのエンジン提供が久しぶりに復活することになった。
また、今回小林可夢偉はアジア人初のフェラーリドライバーとしてモナコGPにゲスト参加している。日本人ドライバーの復帰は近いか。
ピレリは前戦スペインGPであまりに消耗しやすいタイヤを反省、カナダGPまでにタイヤをアップデートすると発表した。これに対しロータスなどタイヤマネジメントに優れるチームは反論している。
今回モナコGPは既存のタイヤ路線での戦いとなるが、気温も低くピットストップ回数は少ないと考えられている。
1回ストップというチャレンジに出るドライバーが出てくるかが注目。

■予選

フリー走行で激しいクラッシュをしたフェラーリマッサとロータスグロージャン、フォース・インディアのスーティルは予選Q1中にマシンの復旧が間に合うかが注目された。結果的にマッサは予選走行を断念、グロージャンはなんとかまにあったものの、Q2で姿を消した。
Q1は雨、Q2で晴れていき、Q3はドライコンディションという変則的なコンディションでモナコ予選は争われている。
雨の混乱によりディレスタとグティエレスがQ1で脱落、ケータハムのヴァン・デル・ガルデがQ2で15位と大健闘するなど波乱の展開となった。
Q3、スーパーソフトでの戦いでまず頭角を現したのはレッドブル。マクラーレンは2台ともQ3に残るが苦戦、アロンソとライコネンも上位のタイムに追随できていない。そして後半からはメルセデスが一気にタイムを更新していき、予選1-2を獲得。レッドブルも健闘したがこの2台のペースには追いつけなかった。

■決勝

全車綺麗なスタートを切り、20周をすぎるまではレースは動かない。20位を走るマルドナドまでのタイム差が35秒のまま周回を重ねている。これは各チームが1回ピットストップを睨んで前方のドライバーよりもタイヤを労って走ろうとしたためで、本来出せるだろうタイムよりも3秒近く遅いラップであった。このため、最後方で前のマシンとの差の大きいドライバーが暫定ファステストラップを塗り替えるシーンがしばしば見られる。この後に多くの混乱があるがレース全体でペースの遅さは一貫し、隊列走行が続いた。
24周、先陣を切ってウェバーがピットストップ、ソフトタイヤに交換する。続いて続々と各車がピットインするも、ロズベルグとハミルトンが不可解なステイアウト。そしてピットインタイミングでマッサが大きなクラッシュ。フリー走行と全く同じ、1コーナーに進入するタイミングでブレーキをかけるとマシンのそこが地面と接し、跳ねてしまうというものであった。これによりマッサは負傷、セーフティーカーが導入される。セーフティーカーが入るのは今年初めて。
このセーフティーカーのタイミングでロズベルグとハミルトンがピットイン、ハミルトンは4位に順位を落とす。
39周目にレースが再開、ヌーベルシケインでの突っ込みでペレスがバトンをパス、またアロンソにも同じくシケインで仕掛けるもショートカットしたアロンソを抜くことは叶わず(ただしこの後にアロンソがペレスに順位を譲るように指導が入る)。
46周目、大事故発生。ダバココーナーでビアンキがマルドナドに衝突、マルドナドはマシンが宙に浮いた状態でバリアに激突した。この際バリアの緩衝材を巻き込み、緩衝材がコースを大きく塞いだため、レースは赤旗中断となる。
この間にライコネンを除く各車はスーパーソフトタイヤに交換、セーフティーカー先導のローリングスタートでレースが再開する。
ここで勢いを見せたのがスーティル。ロウズヘヤピンでバトンを追い抜き、同じ場所でアロンソも抜いて7位に上昇。車間のない中でレースは大荒れになってきたが、さらに62周目、トンネル出口でグロージャンがリチャルドの後方から激しく追突、2台ともにヌーベルシケインのエスケープゾーンに消えていく。これにより2度目のセーフティーカーが出動する。ベッテルに対しては「ペースを落とせ」、ライコネンに対しては「エンジン温度が上がりすぎている」との警告がされており、最後まで気が抜けないが、レースが再開された3周後早々にまたまた波乱。ヌーベルシケインでの危険な突っ込みにより上位に上がってきたペレスは3度オーバーテイクにトライするが、ここでライコネンに接触。自らはフロントにダメージを負いリタイヤ、ライコネンはリアタイヤをパンクしピットイン、最後方に沈む。またこの2台のトラブルを回避しようとした隙を突いてバトンがアロンソをオーバーテイク。終盤は大きな動きがなくロズベルグがパーフェクトレースを達成するが、後方10番目にチェッカーを受けたのはなんとピットインて最下位に沈んだはずのライコネン。彼は70週目にマルシアケータハムをパスし、77週目にグティエレスとボタスをオーバーテイク、そして最終周の1コーナー手前でヒュルケンベルグを追い抜くという脅威の5台抜きを敢行していたのだ。
結果としてはロズベルグ・ベッテル・ウェバーの3台が表彰台を獲得。チャンピオン争いを競っていたアロンソとライコネンが大きくポイントを失う結果となっている。

■レース感想

序盤は硬すぎるレースになるかと思われたが、大きな波乱が続き、16台完走(扱いを含む)というサバイバルレースとなった。オーバーテイクは少なかったがクラッシュが続出し、見応えはあったと言えるだろう。
今回は多くのレース中断が見られた。
・30周目のマッサクラッシュによるセーフティーカー
・46周目のマルドナドのクラッシュによる赤旗中断
・62周目のグロージャンのクラッシュによるセーフティーカー
各車が1ストップ作戦を睨んで保守的な走りに徹したが、レース中断が繰り返されたことで当初の目的とは異なり、各マシンのタイヤ状況が読めず、この中でタイヤを守りきらなければならないと圧倒的に遅いペースでレースが進んだのは特徴的であった。
フューエルエフェクトは出にくく、タイヤ状況がレースを左右しないあたり、今回パーフェクトゲームを達成したメルセデスにとってはこの上なくマシンの特性(欠点も含め)が味方したレースであったと言える。
この守りの展開の中でチャンピオン争いは大きく動いた。出来る仕事をやりぬいて2-3位を確保したレッドブルに対し、フェラーリロータスは同僚が事故で姿を消し、1台も高いポイントを取れなかったことで、ドライバーズ・コンストラクターズともにレッドブルに多くのポイントを献上してしまっている。速さ云々を語れるレースではなかったが、次戦以降上手い立ち上がりを見せないと中盤戦から厳しくなってしまいそうだ。

■チーム別評価

・レッドブル
予選決勝ともにメルセデスに次ぐ走りを見せ、無難に2-3位でレースを終えることができている。不ライバルチームが自滅してくれたお陰でポイント差を広げて中盤のヨーロッパラウンドに入ることができそうで、状況としては盤石か。

・フェラーリ
フリー走行でのクラッシュによりマッサが予選最下位、レースではフリー走行と全く同じトラブルにより激しいクラッシュでレースを終えた。アロンソもソフトタイヤに苦しみ数台にオーバーテイクされるなど、前戦までとは違って大きく苦戦。
カナダグランプリでの復帰状況によってはこのままズルズルと順位を落としかねない。

・ロータス
今回はライコネンの連続入賞回数23回目を記録し、史上最高記録の24回に迫る重要な一戦であった。ペレスの追突により全てが消え去ったかに見えたが怒涛の走りにより10位を死守、奇跡の記録更新を続けている。
グロージャンは今回4度の事故を発生させており、ひさびさに去年までの爆弾魔っぷりを見せた。早く走るよりもクラッシュしている方がグロージャンらしい、というのは皮肉なものだがそういうものだろう。

・マクラーレン
アップデートを重ねてようやく上位勢と戦えるようになってきたマクラーレン。
今回何かと目立ったのはペレスの方だった。ヌーベルシケインでの追い抜きをはじめ、硬着したレースの中で一人奮起したが、最後にライコネンとクラッシュしたことですべての評価が台無しになったと言える。前2回のオーバーテイクも上位入賞ができていれば勲章になっただろうが、リタイヤしてしまったのでは全てが問題点として判断されてしまう。
バトンは堅実堅実に走りきり、6位入賞。

・メルセデス
フリー走行3回、予選1-2、決勝も優勝と今年一番の活躍を見せた。パーフェクトゲームの達成には恐れ入る。
ただし、意図が読めないピット作戦がなければ、決勝も1-2で飾れただろうことを思うと、なお残念な結果であると言えた。
タイヤの問題が解決しているかどうかは分からないが、一発の速さは屈指であると言えるだろう。
次戦以降もアップデートを重ねながら力強く走ることを期待したい。
また今回ニコ・ロズベルグの勝利は親子2代での初のモナコ勝利として記録に残る。30年ぶりのロズベルグの勝利であった。

・フォース・インディア
スーティル5位、ディレスタ9位と素晴らしい結果でモナコGPを終えた。オーバーテイクで順位を高めたのはペレスを除けばスーティルとライコネンくらい、と考えるとやはりこのチームのポテンシャルの高さとスーティルの才能が本物であることを改めて認識させる。

・ザウバー
いくつかのトラブルがありながら、これまでよりもペースは悪くなかった。展開もよく1ポイント獲得が期待されたが、最後のライコネンの追い上げによりこれを逃した。

・トロ・ロッソ
ベルニュの8位は耐えて取った結果である。リチャルドはもしかしたら10位完走ができたかもしれないが、爆弾魔グロージャンの神風特攻により一瞬で全てが消えた。

・ウィリアムズ
昨年圧倒的に優れた新人として評価を高めたマルドナドだが今年は全く奮わない。ここまでの展開ではボタスの方がパフォーマンスを発揮しているといえるほどで、とにかくこのリタイヤ率の高さを何とかしなければ来年再来年の展望すら浮かんでこない。

・マルシャ/ケータハム
予選決勝でかつてなく目立った2チームであった。ピックが1周めにマシントラブルでリタイヤ、ビアンキも早々に姿を消しているが、遅いレースの中でファステストラップを更新するなど、その名を多く目にすることができた。

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