【F1入門】現役ワールドチャンピオン経験ドライバー紹介

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ここ数年のF1は非常に面白いのですが、この面白さが際立っているポイントとして、「過去に類を見ない、チャンピオン経験者が現役としてたくさん走っている」ところが挙げられます。
2000年代後半からチャンピオン争いが混沌としたことと、2010年のミハエル・シューマッハーの復帰により、チャンピオンを経験したドライバーが2012年で6人も現役としてレースに参加し、今年も5人が上位チームで凌ぎを削っています。
そこで今回は、2013年のグランプリを争うドライバーの中で、ドライバーズチャンピオンシップを制した経験を持つドライバーを紹介しましょう。日本人ドライバーのいない今年のタイミングこそ、彼らの活躍に目を配れる良い機会です。

■セバスチャン・ヴェッテル(2012・2013年レッドブル)

2010・2011・2012年ワールドチャンピオン

史上三人目の三連覇チャンピオンにして、最年少チャンピオン記録他、多くの最年少記録を持つ早熟な天才です。
現役ドライバーの中ではアロンソ同様に総合力の高いドライバーで、一発の速さ、安定性、トラブルからの挽回力、忍耐力がいずれも高く、走りとしてはダーティーさもない最強の優等生。09年から14年までをレッドブルで過ごしておりチームと一蓮托生の成績であると揶揄されることもありますが、デビューしたトロ・ロッソチーム時代から才能は開花させており、ミハエル・シューマッハーに次ぐドイツの英雄であることは疑いようがないでしょう。
25歳と若く未だキャリアは中盤。毎年与えられたマシンに女性の名前を付けたり、ヘルメットのカラーリングを頻繁に変えるなど、お茶目なところがありますが、2013年マレーシアGPで、チームの指示を再三無視して同僚を追い抜き優勝をかっさらうなど、幼すぎる一面があるのは良いのか悪いのか。いずれにせよ、「完璧な最年少野郎」を楽しく見守れるエピソードを生んでくれたことにファンは喜んでいます。
また、ライコネンの数少ないF1でのお友達です。

■ジェンソン・バトン(2012・2013年マクラーレン)

2009年ワールドチャンピオン

一言で言うと「道端ジェシカの彼氏」。
現在のチャンピオン経験者たちがいずれも華々しい早熟なキャリアを積む中では異質な苦労人。
移籍した所属チームが低調な時期に当たることが多く、初優勝は出走113年目と史上3番目の遅さです。2009年、ホンダがF1に残した遺産、ブラウンGPの優れたマシンを得たことにより念願のワールドチャンピオンを獲得。
爆発的な速さがあるわけではなく、追い抜きでもたついたり追われるとすぐ抜かれたりと、戦闘的なドライバーには見えませんし、過去にチームメイトよりも活躍できない時期が多いドライバーでもありますが、レースマネジメントの巧さと混戦時のチーム統制能力は際立って優れています。
他ドライバーに抜かれているのにピット作戦で着実に順位を上げて、最終的にはポイント圏内にいる…といったレースが多く見られ、またシーズン全体で安定してポイントを獲得する術にも長けています。
またミックスウェザー(レース中に晴れから雨、雨から晴れなど天候が変化する状況)においてはずば抜けて強く、このようなレースでは他ドライバーが大慌てする中、一人しれっと優勝をさらっていくレースが多く見られます。かつてアイルトンセナなど、「レインマイスター」と呼ばれた「雨に滅法強い」ドライバーはいましたが、ミックスウェザー専門のスペシャリストというのは歴史上珍しい存在です(フェラーリチームの戦略込みであれば、ミハエル・シューマッハーの戦績は高いのですが)
若い頃はモデルもしていた甘いマスクで女性ファンが多いが走りは玄人好み…という不思議なドライバーです。
趣味はセックスと公言しています。

■ルイス・ハミルトン(2012マクラーレン 2013メルセデス)

2008年ワールドチャンピオン

F1初の黒人ドライバーであり、F1初の黒人ワールドチャンピオンです。
2007年にデビューして以来2012年まで一貫して競合マクラーレンチームに在籍していますが、デビュー年に同僚となったフェルナンド・アロンソを相手に互角の戦いをするなど、デビュー年から驚異的な速さを証明しています。
速さ・強さにおいては間違いなく現役F1ドライバーの中でトップクラスなのですが、オーバーテイク時にムキになることが多く、特にフェリペ・マッサとのバトルは2011年だけで6回のクラッシュを招くなど「当たり屋」としての悪癖があり、また他にもつまらないミスで失うレースが多いのが難点です。
言動の面でも思慮に欠けた発言をして物議を醸す他、非公開のテレメタリーデータを公開する・同僚にリムーブされたと騒ぐなどTwitterでのトラブルも起こすなど、優等生タイプの多い現代F1の中では目立ちがちなやんちゃ小僧です。
アイルトン・セナに憧れ、永遠のライバルとしてアロンソを挙げて彼をプロストに例えています。またベッテルについては「彼がマンセル?彼をマンセルと同レベルには評価できない」と言っていますが、「ハミルトンこそマンセルだよな…」と古いファンなら思っています。

■フェルナンド・アロンソ(2012・2013フェラーリ)

2005・2006ワールドチャンピオン

濃い顔をしたスペインのポーカー好きで、レースウィークのたびにF1ドライバーやバーニー・エクレストンを集めてポーカー大会を開催し、全員の集中力を削いで副業のレースで勝利するドライビングセンスの持ち主。嘘です。
1994年以降完全無欠な帝国を築いていたミハエル・シューマッハーを打ち倒しての2年連続チャンピオンを獲得した、現世代の代表的人物です。
傑出したレースへの集中力を持つドライバーで、F1チーム代表やファンの投票でも毎回「現役最強のドライバー」に選ばれています。
「圧倒的に速い最速マシン」でないときでも優勝を狙える数少ないドライバーで、これは「マシン特性に左右されがちで、マシンが不調だと良いところを見せられない」近年のドライバーの中では頭一つ抜けて評価されています。ピット前後のインラップ・アウトラップやライバル車がピットに入っているときのペースコントロールなど、「ここぞというとき」の鬼神の走りと、レース全体で安定したペースを出しタイヤを労る能力を兼ね備えた職人です。
基本的には多くのドライバーやレース関係者と仲が良いのですが、かつてマクラーレンチーム在籍時にルイス・ハミルトンと険悪な関係になったことがありました。現在では関係は修復しており「お互いに最速だと認め合うライバル」に昇華されています。

■キミ・ライコネン(2012・2013ロータス)

2007年ワールトチャンピオン

優等生なドライバーが増えた現代のF1の中で、一人異彩を放つフィンランド人です。
マスコミやチームに対して極度に無愛想でコメントが少ない姿勢は「言動がエコ」と呼ばれ、モナコGPでリタイヤした時はピットに戻らずクルーザーでレーシングスーツを脱いで酒を飲み始め、レースが雨で中断した時は他ドライバーがコンセントレーションを高めている中、モーターホームでチョコアイスを嬉しそうに食べる姿が全世界に放送され、レース中にF1用ではないピットレーンを爆走して出口が封鎖されているのに気付いて道を戻り、表彰台に乗ればシャンパンファイトもそこそこにシャンパンをがぶ飲みする。マシンの状況を伝える無線に対して「やることはわかってる、一人にしてくれ」とコメントする……オモシロエピソードが尽きません。
これらの行動から無愛想なイメージがありますが、「プレスに対してチョコアイスを配る」「一人にしてくれTシャツを作ってチームに配る」など、なんともいえないかわいいキャラクターで、またマシン開発でも「的確なフィードバックを最小限の言葉で伝える」と開発者から評価されています。
ただし、チーム運営者からの評価は(チャンピオンを獲得し、また獲得を狙える位置にいても)芳しくなく、苦言を呈されることが少なくありません。この評価が原因で2010年のシート獲得を逃し2年間F1から離れていました。
そんなライコネンは、強さよりも速さが際だつレーシングスタイルを持っています。
視界の中にライバル車がいる時や後方からの追い上げなどでは驚異的な速さで食らいつき、華麗にオーバーテイクを仕掛けていく気の強さが魅力です。一方でレースが膠着している時やライバル車に差を付けられたときなどに「やる気をなくしてしまう」ことがあり、凡レースも量産してしまう向きがあります。
また、ライコネンは独特なレーシングライン取りをするドライバーで、テレビで中継を見ていても、ライコネンがコースの幅をいっぱいにつかって大きくコーナーを曲がる姿が見れるでしょう。このためオーバーテイクでもセオリーのインから抜いていく追い抜きよりも、アウトをつかってぬるっと抜いていくシーンが多く見られます。
このレーシングスタイルを持っているためか、低速サーキットとの相性はあまりよくなさそうです。
口癖は「興味ない(質問に対して)」「様子を見てみよう(自分以外の何かについて問われると)」。

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