ネタバレのみ
■予選
予選Q1はドライコンディション、フォース・インディアのスーティルが全体のトップタイムを叩き出すという意外な展開でスタートした。ケータハムとマルシアは無事トップタイムから103%以内のタイムを出すことができ、最低限の仕事を終える。
予選Q2も順調に進むかと思われたが、残り5分時点でターン7、8から雨が降り出し、この時点で10位圏内に入れなかったグロージャン、ヒュルケンベルグらが脱落する。
予選Q3。Q2途中から降りだした雨は止む・再び降りだすと不安定。インターミディエイトタイヤでコースに出なければならないが乾いた路面が多く急速にタイヤが摩耗してしまうという厳しいコンディションの中、最後にアタックできたヴェッテルがPP、マッサがこれに続く2位。前戦優勝のライコネンは7位に沈み、雨というチャンスを活かしたフェラーリが2位3位を確保。メルセデスがこれに続く4位6位と健闘している。
予選後、ライコネンに対して「ニコ・ロズベルグの走行を妨害した」として、3位降格のペナルティが課された。
■決勝
決勝開始前に降った雨の影響でウェット路面でのスタートとなった。しかし濡れている範囲はセクター1のみ、またこの後雨は降らないという予報で、後半はドライタイヤでのレースとなる。
スタートでアロンソがヴェッテルのリアにヒット、フロントウイングを破損しすぐにピットストップしなかったことで壊れたウイングがマシン底部に挟まってしまいリタイヤとなる。他車はウェバーがジャンプアップ、マッサが順位を落としながらも比較的クリーンな立ち上がりになった。その後、ドライタイヤに切り替えながらレースは安定。多くのチームが4回ピットストップを選択し、レッドブルとメルセデスの独走体制のまま続いていく。
レース終盤、最終のピットインタイミングで既にレッドブル1-2、メルセデス3-4が決したが、レッドブルはウェバーのピットアウトからベッテルが強烈なバトルを仕掛け同僚対決が勃発、同時に後方でもメルセデス同士のオーバーテイクが発生する。最終ピットストップでトップに立つことが確定していたウェバーはチームからクルージングの指示が出ていたところに、ベッテルがチームの指示を無視して追い抜きを仕掛けたことにチームとウェバーは怒り、再三ハミルトンのペースが遅いと訴えるロズベルグにはチーム監督が懇願するようにステイを指示。チーム関係者が頭を抱えるような展開のまま、ベッテル・ウェバー・ハミルトン・ロズベルグの順でゴールした。
終盤これまで地味な位置にいたマッサが急伸、続々とオーバーテイクを仕掛けて5位でチェッカーを受ける。ロータスは終始他のマシンに道を遮られ6-7位と低迷した。
■レース感想
雨絡みの第2戦となり、未だ今年の展望は見えてこない。現時点では「今年も独走するレッドブルをフェラーリ・メルセデスが追う」というくらいの差は理解できるが、その中にあってアロンソの衝突、ピットインしないままのリタイヤは痛い。
レース結果としてはそれなりのもので終わったが、悪い意味で見どころが多いグランプリだった。
まず、ピットでのトラブルが相次いだ。
・ハミルトン、誤って古巣マクラーレンのピットに飛び込む
・バトン、フロントタイヤの装着ミスでピット内立ち往生
・フォース・インディア、フロントタイヤを装着できないトラブル
珍事が多すぎる。
また終盤には2チームがチームメイト同士の争いを見せるという展開も発生した。ガソリン不足でスロー走行するハミルトンを抜きあぐねてイラつくロズベルグはチームに対し「Remember this one…」という言葉を残し、チームの判断を無視して不要なバトルを演じ優勝を浚ったベッテルに対しウェバーは激怒している。
表彰台控え室はベッテル・ニューウェイの反省会と猛烈に怒るウェバー、ロズベルグに表彰台を譲られ気まずすぎるハミルトンという……なんともいえない風景が映され、表彰台も笑顔が全く見られないなど、「今回一番の見所はレース後だった」と評価してしまって良いだろう。
次戦中国グランプリまで3週間が空くが今年のドラマが早くもはじまったなと感じさせる
■チーム別評価
・レッドブル
予選・決勝を通じて明らかな速さを見せ、今年も最も速いマシンであることを証明した。
かつ1-2フィニッシュという最高の結果を残したが、ベッテルとウェバーが終盤に見せたバトルは確実に今年遺恨を残すものとなった。ベッテルとウェバーの力量差を考えればチャンピオンシップへの影響はないと思われるが、ベッテルのチームオーダー無視の姿勢は彼の「3度のワールドチャンピオンを獲得しながらいまだ精神的な幼さを残す」性格を露わにしてしまった。
・フェラーリ
1周目のアロンソの追突、そしてすぐにピットインしなかったことでリタイヤしてしまったことは痛恨事である。レース全体で考えればレッドブルに分がある中で0ポイントに終わってしまったことは大きいといえるだろう。一方で今年マッサが好調なのはポジティブな要素だ。昨年から4戦連続でアロンソを上回る予選順位を残し、今回も中盤てこずったものの5位とフェラーリに貴重なポイントが残せている。
・ロータス
ロータスはタイヤの使い方が巧い…という特性は今回通用しなかった。インターミディエイトタイヤの使いこなしに苦労し予選と序盤で苦しんだ。またストレートスピードが伸びないためにこのマレーシアでは貴重なオーバーテイクポイントを活用できず、下位チームの追い抜きに苦労した。結果として6-7位を獲得できたのは幸いだった。
・マクラーレン
予選に苦しみ、レースペースの遅さに苦しみ、さらにはピットでも苦しむという厳しい状況。バトンはタイヤ交換時に右フロントの締め付け不良でピットレーンで停止、レースを落とした。ペレスもレース中は全く速さを見せることができず、残り10周を切ってのピットインによりファステストラップを記録したが結果としては9位2ポイントにとどまった。
・メルセデス
前戦に続き「優勝を狙えるマシン」であることは改めて証明した。レッドブルを終盤まで追い回し、2台好調なペースで走れている。弱みを探すならばピレリタイヤの使い方が若干ほかチームに比べて弱いというところだが、それでもこのペースなら十分に今年数度優勝することはできるだろう。ハミルトンがピットイン時、誤って古巣マクラーレンのピットに入ってしまうという珍事、終盤ガソリン不足でペースを落としたハミルトンを追うロズベルグに対して追い抜きを禁じるオーダーが下され険悪な空気を漂わせるなど本来なら不要なところで話題作りをしてしまった。ロズベルグは過去のチャンピオンを相手にこの2人を超える速さを見せている。今後に期待したい。
・フォースインディア
今回も圧倒的な速さがあることを見せた。Q1でのトップタイムと決勝のレースペースは本物。が、ディ・レスタ、スーティル共に左フロントホイールにトラブルが出てタイヤ交換が出来ずリタイヤするという最悪の結果でマレーシアを終えてしまった。マシンにもドライバーにも恵まれながらこのような形での0ポイントはあまりにも惜しい。
・ウィリアムズ
マルドナドは前戦に続きコースアウトでフロントウイングを破損、ウイング交換で復帰するも結局はリタイヤ。ボタスは目立たない走りではあったが11位完走。昨年大いに評価を挙げたマルドナドの2連続コースアウトを嘆くべきか、マルドナドをもってしてもコントロールできないマシンだと判断すべきか、次戦以降も心配は耐えない。
・ザウバー
2戦目で2台とも完走、ヒュルケンベルグが8位入賞を決めた。レースペースは遅く、ウィリアムズと並んでライコネンを抑えこむことでしか目立てなかった。昨年の速さがないことはここで明らかになった。
・トロ・ロッソ
ベルニュが10位完走。リカルドは実質リタイヤだが完走扱いでまずは一息。ウィリアムズとザウバーが共に苦しんでいるため、この2チームを相手にどれだけ隙をつけるかがこのチームにとってのポイント獲得の条件となる。
・マルシア/ケータハム
4台ともに完走。相変わらず悪い意味での「別カテゴリのレース」なのだが、マレーシアグランプリ前にケータハムがチームを手放したがっていること、シーズン前にマルシアとの合併話が浮かんでいたことが明らかになった。来年まで残れるか、この2チーム。
コメント
レースが終わった後が一番ドキドキする、稀有なグランプリでした。いやオモロかった。 / “2013年F1GP第2戦 マレーシアGP — 乱れなよ、そして召されなよ” http://t.co/7rd0dnGibi
2013年F1GP第2戦 マレーシアGP — 乱れなよ、そして召されなよ
B! http://t.co/e5ZXACVmov
#twihateb
復習。見られなかったし。--「2013年F1GP第2戦 マレーシアGP — 乱れなよ、そして召されなよ」 http://t.co/pOeyacFHBN