【F1入門】F1マニアはどのように一年を楽しむのか。

スポンサーリンク

さて、raf00は1991年から一貫してF1が大好きで、以来1戦も欠くことなくフジテレビの放送を見続けています。
Twitterでのraf00を知る人ならおわかりのとおり、致命的なF1ファンです。
日本ではバブルとともにF1ブームが巻き起こり、音速の貴公子、モータースポーツ界の英雄、アイルトン・セナの死亡事故以来急速に人気が陰り、今や「F1ファンを見つけたと思ったら、観戦歴20年のベテランばかり」という寂しい状況。
近年は人気を支えてきた国内メーカーもF1から離れ、ついに昨年からは地上波放送の撤退、さらに今年は小林可夢偉のシート喪失によりひさしぶりに日本人ドライバーが不在…と、国内のF1周りの状況はひどく寂しいものになっています。

これはいけません。F1はすっごい面白いものなのです。
というわけで、当ブログでは「知識ゼロからF1を楽しめるようになる」よう、いろんな知識を情報をお届けしていきたい!少しでもF1を楽しむ人を増やしたい!と思っています。
先日の「ちょうどうでもいい知識」シリーズもそうですが、F1はなかなかに面白い世界です。
で、「F1の魅力に迫る」前に、まずわれわれF1観戦マニアたちがどのように一年を過ごしているのかをざっとご紹介しましょう。

・シーズン前新車発表

年が明け、1月の後半からシーズン開幕にかけて、各チームが新車発表会を行います。
美しい各チームのマシン画像がF1ニュースサイトや雑誌に掲載され、また発表会の模様が動画サイトで公開される例も増えてきています。
その年のレギュレーションに適応したマシンの形状、スタイル、主に空力的技術チャレンジから、どのような走りを見せてくれるのか、どのようなシーズンになっていくのかを妄想する、楽しいひと時を過ごします(次項のテストあたりから既に落胆の兆候は見えてくるため)。またスポンサーの変更などから一新されるカラーリングを楽しむのもこの時期ならではの楽しみと言えます。
基本的にはマニアの期待に満ち溢れた時期となるのですが、レギュレーションの変更によって早々に議論が巻き起こることもあります。
2009年度などはエンターテイメント性を増すための規約変更によりリアウイングの大幅な小型化とエアロパーツの制限により、極端にシンプルになったマシンに対して「下位カテゴリのマシンのようだ」と嘆かれましたし、昨年2012年もフロントノーズ規定が変更され酷く不格好な段差ノーズがほとんどのチームで採用され「セイウチノーズ以来のカッコ悪さ」などと揶揄されています。
また、マシンと同時に新しいレーシングスーツのお披露目にもなりますが、「似合ってない」「パジャマのようだ」と言われるのも恒例です。

・シーズン前合同テスト

シーズン開幕まで行われる合同テストは、その年のマシン、ドライバーの出来を見る上で重要なイベントです。
テストとは言え、多くのチームが参加するため各チーム・ドライバーの力量差が見えてくるような気がするので、この時期の情報収集をマニアは欠かしません。
今、「見えてくるような気がする」と言いました。というのはこのテスト期間では純粋な速さ勝負が行われるわけではなく、新しいマシンの走行性能の確認、各パーツの耐久テスト、タイヤテスト、長距離走行時の挙動確認など、様々なメニューをこなす時間であるため、実は本当の力量差は全く見えないのです。シーズン前テストでは圧倒的に素晴らしいタイムを出していたのに、シーズンが開幕してみると全然ダメ…シーズン前テストでトラブルがなかったと思ったら、洗い出しができていなかっただけでシーズン中はトラブル頻発…といった展開が毎年恒例です。それでも冬の間お預けを食らっていた実走行の機会を楽しむ時期と言えます。

・グランプリ開幕~開幕三戦程度

いよいよF1グランプリの1年が始まります。
各チームの本当のポテンシャルはどうか、誰が一年を引っ張っていくのか、真の姿がわかるのが開幕戦であるため、金曜日のフリー走行から大注目です(最下位クラスのチームがテストなしでぶっつけ本番、金曜フリーでシェイクダウンする姿も少なからず見られます)。
またレースとしてもその年のルールやタイヤ特性、マシン自体の特性理解が成熟していないため荒れがちで、かつ守りのプレッシャーがないためクラッシュも頻発するため、後半戦には見られない意外なドライバーの活躍や、盤石であるはずのトップドライバーのミスなどが発生し、大いに盛り上がります。
稀に開幕三戦を完全征服するチームが現れますが、その場合はその年のチャンピオンシップは間違いなくそのチームのモノになるので、ひいきのドライバーがいる場合は諦めて来年に期待しましょう。長年F1を見続けているマニアにとっては、ストーブリーグから開幕戦終了までの期間でそのシーズンの楽しみの5割を消費しているような気がします。

・シーズン前半戦

開幕数戦からヨーロッパラウンドに戦いを移し、モナコグランプリあたりまでを前半戦と呼びましょう。
開幕から数戦はヨーロッパ以外の地域でのグランプリが行われ、このあたりは比較的混乱した争いが見られますが、舞台をヨーロッパに移す頃にはマシン本来の力を発揮したレース運びが行われるようになります。ここからしばらくはヨーロッパ内を転戦する「ヨーロッパラウンド」の始まりです。近年ではヨーロッパラウンドの序盤にスペイングランプリが配置され、シーズン前合同テストで利用されたサーキットでマシンの総合力が試される戦いが行われます。
そしてモナコグランプリ。世界三大モータースポーツイベントとも呼ばれる、伝統と格式ある世界で最も美しいスポーツ中継が行われます。モナコモンテカルロを疾走する姿はまさに「美」の一言ですが、長年F1を見ているマニアにとっては「狭く複雑な、追い抜きが全然見られない波乱の少ないグランプリ」としても知られます。寝ないように注意したいグランプリです。

・シーズン中盤戦

視点はチャンピオン争いに移ってきます。前半戦時点で大まかなチームの優劣がわかってきますが、中盤になるとチャンピオン候補が3人から4人ほどに絞られてきていることでしょう。前半は「だれが優勝するか」が注目点でしたが、中盤からはこの候補たちがどれだけポイントを積み重ねられるか、リタイヤして差をつけられてしまうかに手に汗握るようになってきます。
また、シーズン中の開発によってぐっと上位との差を縮めてくるチームも現れ始めます。マクラーレンやフェラーリなどが開発の失敗から立ち直る姿は中盤あたりで見られるパターンです。
またこの頃、マニアは中盤に目を向け、既に来季のシート獲得予想、次代のエースドライバー探しを始めています。その年の光るドライバーを見出す作業はなんとも愉しいものです。
中盤戦でマニアを苦しめるイベントは「カナダGP」です。時差がほぼ12時間なので、決勝は月曜日の午前2時~3時頃にはじまり、午前5時まで放送が続きます。翌日の仕事で眠そうにしている人がいたら、それはもしかしたらF1マニアかもしれません。

・シーズン後半

チャンピオン争いもいよいよ過熱します。この時期になるとパターンは2つ。残り少ないグランプリを誰が先行するか一瞬も目を離せない展開になっているか、独走するドライバーがいつチャンピオンを決定するかを予想する展開か。
後半になると個人戦はチーム戦に変わっていき、チャンピオンの可能性が失われたドライバーはチャンピオン争いをする同僚をアシストするために走るようになりますし、露骨なチームオーダーが発令されることもあります。優勝よりも確実なポイントを求める姿に興ざめする展開もあり得るでしょう。
中堅以下では早々に今年の順位獲得を諦め来季開発に専念するチームや、この年に全てを賭けるチームなどに分かれ、レース内での順位が入れ替わることが増えます。ザウバーは後半ずるずると順位を落とし、トロロッソやフォースインディアなどは最前列すら脅かす展開になるのが近年の恒例パターン。前半から早く走れよ…。
また後半戦はストーブリーグの話題が活発になり、来季体制に向けての動きや早々に契約を決めて気の抜けた走りをするドライバーに注目が集まります。チャンピオン争いが行われている中で既にマニアの目は来年を向いているのです(レースも飽きてくるし)。
そして近年は最終戦にブラジルGPが配置されています。カナダGP同様、深夜から始まり明け方に終わる過酷なスケジュール、さらに11月にもなると相当寒いので、暖房をつけて寝落ちのリスクにも向き合わなければなりません。ドライバーの戦いも過酷ですが、視聴者の戦いも過酷です。

・チャンピオン決定後

最終戦を前にチャンピオンが決定した場合、残りレースは消化試合…になるわけではなく、チーム戦が盛り上がります。コンストラクターズランキングによってチームにもたらされる分配金が変わるため、トップチームだけでなく中堅・下位チームもそれぞれのランキングを上げるために最後の戦いを繰り広げます。チーム総合のポイント争いは、ドライバーズチャンピオンシップが争われているときはあまりスポットが当たらないため、少し新鮮な気持ちでレースを見ることができます。
ドライバー同士の争いが一段落するため、プレッシャーから解放されて活躍するドライバーも現れます。既に引退していますがクルサードとか。またこの時点でも来季契約が確定していないドライバーたちが発奮したりします。

・ストーブリーグ

グランプリシーズンが終了すると、来年に向けての動きも大詰めです。多くの場合シーズン中盤から終盤にかけて主だった来季シートが埋まっていくため、シーズン終了後は数少ないシートをめぐり、熾烈な椅子取りゲームが行われます。
ここまで来ると確実な情報など何もなく、憶測やブラフが乱れ飛び、マニアたちは大いに情報に翻弄されます。2ちゃんねるのドライバースレッドやストーブリーグスレッドも大概酷い憶測に満ちていますが、この時期は新聞報道すらも信用できません。
しかし、この時期のニュースを見逃せないのがF1ファンと言えましょう。

・F1総集編

年末も年末、年内最終週のお楽しみはフジテレビのF1総集編です。
シーズン中とは違う高品質な編集がなされた総集編で、舞台裏や事件の真相などが明かされていくのを楽しみながら、F1ファンの一年は終わります。

■関連記事

【F1入門】F1の魅力
【F1入門】F1マニアはどのように一年を楽しむのか。
【F1入門】KERS/DRSとオーバーテイク
【F1入門】F1のタイヤに関するあれこれ
【F1入門】ピット戦略2013年版

コメント

  1. […] 【F1入門】F1マニアはどのように一年を楽しむのか。 ? 乱れなよ、そし… […]

  2. […] 【F1入門】F1マニアはどのように一年を楽しむのか。 — 乱れなよ、そして召されなよ […]

  3. […] 【F1入門】F1マニアはどのように一年を楽しむのか。 【F1入門】KERS/DRSとオーバーテイク 【F1入門】F1のタイヤに関するあれこれ […]