「ネットウォッチャー」Hagex氏の訃報に際して

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はてな界隈で長くネットウォッチャーとしてブログエントリを書かれていたHagex氏が、2018年6月24日、福岡天神で刺され亡くなられた。

学校跡地で男性刺され死亡 男が出頭「人刺した」 福岡
殺人:男性1人刺され死亡 福岡市の繁華街 – 毎日新聞
41歳男性刺され死亡、刃物持ち出頭の男逮捕へ : 社会 : 読売新聞(YOMIURI ONLINE)
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学校跡地で男性刺され死亡 男が出頭「人刺した」 福岡
hagexさん以外考えられない。 – はてこはときどき外に出る
Hagexが刺されて死んだらしい

氏のお名前、ご職業は存じていたため、間違うことはない。Hagex氏が亡くなられた。
氏はまさにセミナーのために福岡に赴かれている。そのイベントの後の事件だ。

Hagex-day info
ネットウォッチ勉強会「かもめ」#2「100万PVブログ達成への道」「ブログトラブル110番」

ブログトラブルについて語るイベントの後に、日本ブログ史上最大のブログトラブルを起こすなど、笑えない。まったくもって笑えない。これまでも幾度か表舞台に立たれたことのある方だったが、今年に入りこれまで以上にアグレッシブに活動されると伺っていた。これからの活躍の中で、いずれお会いしお話したいと楽しみにしていたが、これはいくらなんでもアグレッシブに過ぎる。
個人インターネットの動きが大きく変わってしまうではないか。

Hagex氏ははてな界隈の方なら今更説明するまでもなかろう、非常に攻撃的なネットウォッチ活動をされるネットウォッチャーだった。ネットの炎上事件をいち早く察知、追求しあるいはからかい、ネット住民に多くの話題を提供してくれた方だった。そして「ネットウォッチ」が下火になった中でも継続的に炎上事件を追い、情報をまとめられていた方だった。

正直、下火になった中でもネットウォッチャー活動を続けられていることに対して危うさは感じていた。

以前はraf00もアグレッシブに特定人物や企業の炎上に対してあれこれ言うキャラクターだった。炎上を観察し、言及し、時にはつっかけに行くこともあった。raf00程度の雑魚たちがやいのやいの言い、Hagex氏やnarumi氏が本格的に火をつけ、切込隊長であったやまもといちろう氏がとどめを刺す、そんなパターンが繰り返される時期があった。

しかし一定の時期にraf00は炎上事件の積極的な観察から足を引いた。SNSが広い層に普及しきったタイミングで、個人や情報を深く深く追う「ネットウォッチ」という行為は「気持ちの悪いストーカー行為」として見られるようになり、記憶する限り2014年くらいの段階ではかなり逆風が吹いていた。ネットウォッチャーがブログでわざわざ取り上げずとも炎上事件はSNS上で一気に話題が広がり、対象の悪評がその本来的に責められるべきラインを超えて叩かれるような時代になり、ネットウォッチャーがさらにこれを叩くというのは当たりが強すぎる行為に感じられていた。
また、ネットウォッチャーとしての練度が上がると「負けない叩き方」を身につけられるようになり、あまりにも一方的な攻撃者としての要素が強くなってしまい、何かを語る者のスタンスとして「好ましくない」とも感じていた(このあたりの言い合いを以前otsuneさんとした記憶がある)。

raf00のような小者でもネットウォッチの危うさを感じていたが、他のブロガー諸氏もそうした空気を感じ取っていたのだろう、あるいはただTogetterというゴシップ収集ツールの勢いに負けただけかもしれないが、ネットウォッチを行うブログは2010年前後と比べ、圧倒的に少なくなっていた(絶滅したわけではないことは、はてな村残党諸氏はご存知だと思うが)。

そんな中でもHagex氏だけはネットウォッチ活動を続けられていた。発信者たちがマイルドになっていく中で、変わらずアグレッシブでいた。まるで火を絶やしてはならない種族のように定期的に炎上を繰り返す“彼ら”の行動を見つけては咎め、炎上事件を見つけてはまとめる、何一つ変わらない活動を続けられていた。

それは恨みを買う行為ではあった。この事件の真相が今後追求されることがあってもなくても、彼の活動に今回の事件を招くリスクが皆無であったとは言えない。「自業自得」とHagex氏を責める言葉がおそらく明日以降たくさんネット上に溢れることになるだろう。

事件の真相はある特定の“例の”記事であったかもしれない。
ただ、「炎上発言をしても実生活には弊害がない、むしろ名を売るのに最も効果的な手法だ」と、そんな態度を公にしているタイプのネット上の人物たちに先陣を切って釘を刺すのがHagex氏だった。多くの「ネットウォッチャー」たちが諦めてしまった口撃を続けていたのがHagex氏だった。
しかしHagex氏がいない明日から、“彼ら”に正面切って釘を刺す人はいなくなる。
スポンジボブのファビコンの、切れ味鋭い記事を見ることはもうできなくなる。

Hagexさんにお会いしたかった。お話を伺いたかった。
raf00が諦め、「今の時代逆風だよね」とクールぶってツッコまなくなった事柄に、変わらず情熱を注がれているその心を伺いたかった。

明日からまたちょっと個人インターネットの流れが変わる。ネットの世界は変わっていくもので、変わっていくことを積極的に受け入れていくべきものだけれど、今日起きたこの事件を受け入れたくない。