銭湯が好きです。
自宅の風呂でもしずかちゃんかというほど長風呂ですし、小さい頃から温泉も大好きですが、サウナ付きの銭湯・スーパー銭湯は愛しても愛し足りません。
毎週のように銭湯に通って毎回大体2時間くらい滞在、そのうち1時間はサウナに入り水風呂に浸かりまたサウナに入って過ごしています。
そんな銭湯・サウナ好き生活をしているので、気になっていたこの本を読まないわけにはいかんのですよ。
タナカカツキさん。かつて伝説的なフリーペーパー「パルコゴメス」で天久聖一氏との共著「バカドリル」を連載していた馴染み深い方。
サウナに目覚め、日本サウナ・スパ協会公認のサウナ大使となられた彼が、サウナ→水風呂→休憩を繰り返すことにより訪れる至高の恍惚状態「サウナトランス」の魅力をひたすらに語る一冊です。
サウナと水風呂を往復し毛細血管の伸縮を繰り返し、痺れた身体がほぐれていく感覚を「整う」と表現していますが、これはもうサウナ好きからすれば「なるほど、あの感覚!」と唸る名表現。読むとサウナに行かずにはいられなくなり、体感すればサウナから離れられなくなる、間違いなく名著です。
しかしこう…開いて2ページ目で「あぁ…港が見渡せてテレビのないサウナ…スカイスパYOKOHAMAですな」とわかってしまうなど、メタボリックゾンビraf00は以前からサウナの快楽を知ってしまっているサウナの奴隷。銭湯神ヨッピーさんのように広く深い知識を持ってはいないものの、風呂好きとしてそれなりにあちらこちらの湯に浸かり、サウナで汗を流してきているので、サウナに関して一つ、付け加えたくなってしまうわけです。
というわけで、一つサウナ好きにオススメしたい銭湯があるんです。埼玉高速鉄道川口元郷駅から歩いて5分ほどにある「元郷湯」。
元郷湯はごく普通な埼玉の住宅街である川口元郷の住宅街ど真ん中にある、「地元住民が愛するごくごく普通の銭湯」です。
元々は工場の厚生施設であったという元郷湯は、見た目からして必要以上に質実剛健。
広くて開放感のあるロビーと脱衣所は、懐かしい…とも違う気持ちの良い雰囲気があります。
さらに意外なのは風呂。シンプルに一槽の湯船かと思わせてジェットバスとバイブラを装備。さらに小さいですが露天風呂もありハーブ湯なんぞにしています。
入湯料410円の地元銭湯としては実に充実。
で、サウナですよ。
別料金ではないというサービスも嬉しいのですが、ここのサウナはなかなか他の先頭では見かけないものになっています。
まず、湿式サウナであること。
サウナというのは乾式と湿式があり、一般的なのは乾式サウナ。大体の銭湯や温泉、ジムに備えられているのがこれで、80度以上という高温と低湿度なタイプです。一方湿式サウナはスチームバス・ミストサウナと呼ばれるもので大体が低温。大きなスーパー銭湯などで乾式と併設され、乾式だと熱すぎる人たちがよく使っているアレで、蒸気や霧状の温水で室内を温めるタイプです。
元郷湯はこの湿式サウナになっているのですが、湿式としてはレアなガッツリ熱いタイプ。
サウナ室はコンパクトで非常に暗く、メチャクチャ蒸気の密度が高いので、室内の視界は真っ白。
「サ道」でもテレビがついていない静かなサウナが推奨されていましたが、元郷湯に至っては向こうにいる他の客の姿も見えないレベル。サウナ室のドアに「桶を置きっぱなしにすると危ないぞ」と張り紙がされているのですが本当に納得できます。何も見えない。
そして、このスチームの噴出がまた独特です。
暗く静かな部屋の中で汗を流していると、突然
ボパーン!
と轟音が鳴り響き、スチームが噴出されます。
湯気の噴射の勢いは凄まじく、ただでさえ視界が狭かったのが、完全にゼロになります。
またこのスチームの熱いこと!初体験だとメチャクチャ怖いです。凄い音と「うっお!」と声が出てしまう熱さのスチームが一気に部屋を覆い、全く逃げ場がないんですから。
しかし数度を経るとこれがたまらない快感です。
爆発で一気に汗が流れ出て、数分かけて緩やかに温度が下がっていきます。心拍は穏やかに、汗もじわじわと浮き出るものに変わっていきます。湿度たっぷりで身体に負担がなく、じっくり身体が落ち着いてきた良い塩梅でまたボパーン!待ってましたとまた一気に汗が流れ出てくるわけです。
サウナ⇒水風呂⇒小休止という行為の連続が一般的なサウナトランスのためのサイクルですが、元郷湯にはサウナ室の中にも小サイクルがあり、この中だけでも相当「整ったー!」感があります。暗く静かで全く視界が奪われた部屋で、ボパーン!と緩和の小サイクルを繰り返していると、思考すらなくなってきます。目を見開いていながら瞑想するような状態になり、完全に時間を忘れてしまうのですよ。
サウナに入っている間、熱さは苦にならないけれど時間を持て余すのが苦痛…という方もいるでしょう。raf00もその一人です。しかし元郷湯はすごいですよ。汗を流しながらただ次のボパーン!を待つだけの存在になりきれます。
「サ道」でベースとして扱われているスカイスパYOKOHAMAなどでは1時間に1度くらい、スタッフがタオルやうちわで風を送ってくれるサービスを受けられますが、元郷湯では全く不要。常時、数分に1度のペースでボパーン!を存分に喰らうことができます。
そして至高の小サイクルを経て水風呂に、小休止をしてまたボパーン!の連続に…を繰り返せば、完璧なサウナトランスに達することができるでしょう。
以前、自転車でのロングライドの帰りに立ち寄って以来、ちょくちょく通っているのですが、とにもかくにも地元でなければまず立ち寄る機会がないだろう立地であり、なかなか紹介しにくい場所ではあります。
が、「サ道」を読んでサウナの気持ち良さを味わいたい人にはぜひ行ってもらいたいと思っています。
自転車乗りの方であれば荒川サイクリングロードを走るついでにぜひ。