有料メルマガの発行遅延に関して

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ネット著名人の有料メルマガの遅延が激しい、という話が話題になりました。

Film Goes with Net 週刊(だったはずの)有料メルマガが一ヶ月間配信されなかった件

2012年は「ネット内の人や情報コンテンツにお金を払う」という、これまでにはなかった文化が一気に動き出してきた一年であると思います。有料メルマガ、クラウドファンディング、有料会員制ネットサロン、そしてcakesのような新しいコンテンツプラットフォーム。
これまでにない勢いで多くのユーザーがネットの向こう側にいる人にお金を投じ、有料コンテンツに触れています。メルマガカルト論やオープンクローズ論など数々の議論を呼んだものの、この動きはインターネット文化にとって大きな前進だと思っています。

その中にあって、このような話題がでてしまうことは非常に悲しいことです。
これまでネットにおける有料コンテンツが伸び悩んできた背景には「ネットの情報にお金を出すことの不信」があったように思われます。ネットの発展期に早々にコンテンツビジネスを展開してきた情報商材はその質と集客方法においてあまり好ましくないものでしたし、メールマガジンは(主に無料の分野において)便利すぎる手段であるがために濫用されイメージが悪かったため、有料の分野が伸びてこない状況がありました。
昨年、俄に注目を集めて多くの人が認識を改め、「もう一度信用してみるか」と思われたのがこの1年であると思っています。
こういう話が起こるのはダメ、すごくダメです。

とはいえ、今回の話は昨年の時点から懸念していました。
夜間飛行やブロマガの動きを見る限り、そしてraf00も津田メルマガや切込メルマガを購読し遅延が常態化しているのを見て、いつかこうした話は出てくるだろう、近く必ず問題となるだろう…と予感していました。
むしろ津田メルマガの発行から一年間、問題にならなかったことに「結構もったな…」と感じたほどです。

原則「定期的なスケジュールで配信される」メルマガにおいて、スケジュール通りに配信できなくなることは必ず発生しうる状況です。ましてメルマガは個人の媒体であり、特に様々な分野で活躍される著名人が著者として乗りだしている以上、これは避けられないことといえるでしょう。
しかし夜間飛行やブロマガを見る限りにおいて、この「当然起こり得るメルマガの遅延」はあまり本気で考えられた仕組み・契約ではなかったようです。そしてかつては「発行者に厳しすぎる発行周期管理」で知られた老舗のまぐまぐにおいても、オシャレハット《家入》ハウスインのメルマガは「発行周期 不定期」となっており、発行者優位の契約が結ばれているようでした。

本件に関しては、有料メルマガ配信プラットフォームの運営における見通しの甘さがあったと考えます。

同時にメルマガ著者に対してはあまり否を咎めるべきではないとも思います(一ヶ月間一号も出さなかったハウスインは除く)。有料メルマガの配信に関する契約において、発行周期の遵守と、遅延が生じなかった際のペナルティが発生しないのなら、誰であっても「遅れちゃった、ごめんねテヘリ」と言いたくなるはずです。著者側にとってはおおむね配信のルール内での行動でしかないと思うのです(再度、ハウスインは除く)。
もし、配信プラットフォームが発行遅延に対して明確なペナルティ(たとえば当月の無料化や新規会員登録の停止・休刊・廃刊)を契約・仕組みとして持っていたならば、発行遅延はルール外の行動となり、明確なデメリットが生じるため起こらなくなるでしょう。
配信されないと購読者が思っているうちに、プラットフォーム側からアナウンスがあればクレームは発生せず、今回のような騒動は発生しなかったのです。
(そして過去のまぐまぐの有料メルマガなどはそれが行われており、問題は発生していませんでした。今がどうかはわかりませんが)

配信プラットフォームに対して思うことがあります。

あなたたちのお客さんは誰ですか?と。

これは有料メルマガプラットフォームだけでなく、この2年ほどで勢いを増している様々な有料コンテンツプラットフォームの多くに対して思うことです。
これらのプラットフォームは集客力のあるネットワーカーを集め、始めさせることに多くのリソースを費やしているようですが、一方でお金を支払う人たち、購読者に対しての扱いが粗雑であるように感じられてなりません。

プラットフォームにとって、配信者たちは商材であり、お客さんとはお金を支払う購読者に他なりません。
有料コンテンツの未来は、「強い発行者を集めること」ではありません。「それを求めてくれる人を増やすこと」であると思います。

有料コンテンツは今後のインターネットにおいて、さらに必要性が高まると思っています。それらが豊富に用意され、書き手も読み手もハッピーな未来がくることを願ってやみません。
それが叶うも潰えるも、配信プラットフォームのスタンス次第であると思っています。
今一度、購読者と購読者候補たちのことを考えた運営を考え直してほしいと、願っています。

それとハウスイン。
彼は「未来を語りつつ、自らの手でその未来を丁寧に叩き潰していく」存在であると思っています。
そろそろ彼を「使える」と思うのはやめた方がいい。中長期的に決して良い選択ではないから。