単著を出すブログってどんなんだっけ?

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ちょっと前の話になるのですが。というかまた例によってブログサボってたら「ちょっと前の話」になってしまったのですが。

非モテはてなーが有料メルマガや単著を出せる分水嶺 – syncのにっき ver2.0
世の中には「書く」ことが好きで好きでしようがないブロガーがいる

というやりとりがとても興味深かったので。
そもそも「生活の糧」というほど儲けている人なんて数えられる程度であって、「本業のボーナス感覚」じゃないのか。「印税ライフ♪」なんてもはや最上位の作家でないと体験できない話で、ビジネス書なんて食うには足りなすぎるぞ…とは思うものの、「ブロガーの名誉」としての話として。


■どんなブロガーが単著を出せるか。

という点については出版社の思惑であるため、正直「ブロガーとしての資質」なんてどうでもいいじゃんというところはあると思います。紙のプロとして見た時に商業レベルで「こいつはイケるで!」と思われるかどうかが全てなので。
で、これまでネット上で情報発信していた人が紙媒体に引き上げられた例ではおよそ3パターンほどが思いつきます。

1:卓越した文章力と切り口、取材能力を持つネットワーカー
このカテゴリでざっと思いつくサンプルはテキストサイトやその周辺の時代に遡ることが多いのですが、面白いテーマを収集でき、際立った文章構成能力を持つネットワーカーが書籍を出し、以後もライターとして活躍するという例はちゆ12歳をはじめ数人が見られます。最近のプレイヤーとしてはココロ社さんなどをこのカテゴリに置くこともできるでしょう。
かつてはこの例が多かったような印象があるのですが、最近はあまり見ませんね。テキストサイト時代と違って文章そのもので魅せるブログが少ないことに起因するのかもしれません。(やまもといちろう氏などは卓越した煽りテキストの繰り手ですが、著書は大いに真面目かつ氏の専門領域に関するテーマであるため後述の専門家サイドに区分されるでしょう)
あ、そうそう、最近ではこのカテゴリに該当するのは「漫画ブログ」であることが多いですね。「801ちゃん」や「中国嫁」などなど。
いずれにしても「書くことが好きで好きでしょうがない」だけでは足りず、飛び抜けた資質と絶え間ない努力が必要であると思います。

2:特化した専門性とネット知名度を元に書籍化
現在のブロガーとして「単著」が出るパターンとして最もスタンダードと思えるのがこのカテゴリでしょう。特定のジャンルを執拗なまでに追い、長年に渡りそのテーマに関して更新を続け、ブログ界隈で「このテーマなら○○さん」と認識されるような知名度を得た人が単著を出す例は少なくありません。
ただブログ界隈における「このテーマの代表的専門家」の座というのは相当に高い壁であると言えます。まずもって「そもそも本業でその専門家なのに、それに飽き足らずプライベートのブログでもそのテーマを追い続ける」プレイヤーが存在するため、趣味や好みで太刀打ちするのが難しいという点。たとえばシロクマ先生やmedtoolzさんなどは本業の知識を活かして活動されていますし、まなめさんなどは数多いブロガーの中でも「ニュースサイトと言えばこの人」という稀有なポジションに立たれています。いずれも体系化された知識を持つに至る人たちであります。
「そのテーマの専門家」としてニコ生なりロフトなりに呼ばれるような知名度も必要、となれば「書くことが好きで好きでしょうがない」だけでは足りず、人生を賭したテーマと、絶え間ない努力が必要であると思います。

3:編集者のハートを直撃する企画で一本釣り
上記2カテゴリは「継続した運営の末に出版への道が開けた人達」ですが、そうでない例もあります。
ブログエントリとして、ブログテーマとして選んだネタが、出版編集者の目に触れ「これは出版向きだぞ!」と判断されるパターンですね。
過去振り返ってみると、「はあちゅう・さきっちょ」や「もしドラ」などが代表例と言えるのではないでしょうか。
しかしこのパターンに関しては言うまでもなく、「書くことが好きで好きでしょうがない」だけでは足りず、比類なき企画力と幸運、そしてそこに至るまでの絶え間ない努力が必要であると思います。

■どんなブロガーが有料メルマガを出せるか?
有料メルマガを出したいだけなら別にブログ持ってなくてもまぐまぐで有料メルマガ出せばいいじゃーん……とは言えるのですが、夜間飛行やブロマガなどに声をかけてもらって有料メルマガデビューする…っていう話なら、「どうしたら単著が出せるか?」の第2カテゴリのような、「特化した専門性と知名度を持つ人」というタイプの人になることが重要なんじゃないでしょうか。
ただこちらの場合、単純にブログを頑張るだけでなく「Twitterのフォロワーを十分に持ち、爆発力のある発信手段を備えたブロガー」である必要があると思います。特に一定の購読者を得て継続的にメルマガ運営を続けるのであればこれは必須条件となります。
というわけで「書くことが好きで好きでしょうがない」だけでは足りず、ほどよくtwitterなどでも発信をこなす、集客力を高める努力が必要であると思います。

■どんなブロガーが「生活の糧」を得ていくのか?
ブログを更新していくことで得たいものは様々であると思います。
自己愛を満足させる、自分の偏愛を満たす、同好の士や共感する人を見つけられる、強いメッセージを伝えられる…などなど。

はてな界隈を見ているとやはり「書くことが好きで好きで仕方ない」人が多いのですが(いっちょ噛みするのが好きで好きで仕方ない人はもっといますが。しまった俺だ)、ブログの前提のように語られる「書くこと(表現すること)そのものが好きで仕方ない」というのはブログを運営する理由の要素のうちの一つである、と僕は思っています。
強烈に文章に思い入れがあるわけではないけれど、自分以外の人達に何かを伝えたいと思ってブログを書いている人は多く、まずそこでブロガーとしてはやっていけるのではないかと思います。逆に「書くことが止められないほど好き」だけではその一要素を満たすに終わる、と思ってもいます。

そうした基本的な欲求の先に、「ブログによってどれだけ読み手に与えることができるか」が問われるのではないか、そう思うのです。
「与えるものが多い」ブログは一定量の読者を集め、アフィリエイトなどで副収入を手に入れることができるでしょう。「与えるものが極めて多く、商用にすらなりうる」と編集者に判断されたブロガーは単著を依頼されるようになるでしょう。
「分水嶺はどこか?」と問われたら、その「与えるものの多さ」というシンプルなところに至るんじゃないかなぁと思います。少なくともこれまでネット経由で単著を出された方たちは「際立ってネットユーザーに何かを与えて来た人たち」でした。

などと、あんまりブログを書かない奴がこんなことを書いたわけですが、ここで元エントリに立ち返って。
テキストサイト、さらにその前の日記サイト時代の「非モテ」は「非モテな自分をネタにして笑いを与えていた」ものですが、はてな論壇以後の「非モテ」がどれだけ「与えたのか」を考えるといささか疑問であります。積み重ねられてきた論説が「与えるもの」であったのか、はたまた「非モテである自分や自分に近しい人を守るための言葉」であったのか。

追記1:あきみちさんがより身も蓋もない出版サイドの思惑について補足してくださいましたよ!
書籍執筆提案を受けるブロガー
本エントリでは「一応がんばれば声がかかるかも」みたいなトーンでおさえていたのですが、実際こんな感じであり、「頑張ればいつかブロガーとして書籍が出せる!」といった夢を打ち砕かれますね。

追記2:イケダハヤトくんがちょうどこんなエントリを上げていたので。
著者は印税だけで生活できるのか
「生活の糧になる」という話をこちらも打ち砕く具体例が挙げられていて、こちらも実際こんな感じで。
Amazonダイレクトパブリッシングは確かに「著者の手取り」が増える可能性はあるのですがこれは実質…というか自費出版そのものなので、「出版社から単著が出る」ことの大きなメリットのうち「カネが入る」以外が満たせないのは注意すべきでしょう(有料メルマガもそうですが)。

追記3:D1953ColdSummerの人のブコメ、「さっさと上京してオフ会連発して編集やライターとコネ作りまくること。これ昔から鉄板て言われていたじゃん。」ってのは、「ライター仕事をもらうためのテクニック」じゃないの?さすがに「コネだけで一般ブロガーに単著出させる」出版社はどこを見てもいないでしょう。コネ厨乙。