地方空港・SA/PAの過剰なおもてなしに思うオジ旅感。

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旅に出たい…raf00です。

こんな記事がありました。

このカレーが1300円!高い!まずい!へぼい!おもてなしなき地方空港が地方のイメージダウンに貢献

旭川空港といえばraf00にも懐かしい思い出があります。
その昔、家族で北海道にスキーに行き、初めての北海道に大興奮。パウダースノーや旭川のコンパクトな町並、「あのドラマのあの富良野」を数日かけて満喫しました。
そして帰り。そういえば北海道を全力で楽しんだけど、北海道の海鮮はぜんぜん体験せずじまいだったなぁと思い、帰りの旭川空港で大好物のいくらがたっぷり乗ったいくら弁当を買い求めました。
そして飛行機に乗りさぁ食べるかと開いたら……中から出てきたのは大振りな鮭がごはんの上に乗った鮭弁当。いくらの姿は影も形もなし。間違えていやがる……。
あの時はハイジャックして飛行機を旭川に戻して弁当屋に取って返し、怒鳴りつけてやりたいと心から思ったものです。

というわけで、旭川空港に対する恨みはあるのですが、しかし最近の空港やSA/PAの新化ぶりといったら目を見張るものがあります。しょうもないPAや空港が独自グルメを競ったり、訪れた人たちを楽しませるスイーツや雑貨の品揃えに力を入れたり。
さらには入浴施設やマッサージ、プレイランドなども揃えて、「たっぷり遊んでいける施設」に生まれ変わっています。
大変素晴らしいおもてなしの精神、人の集まる場所でよりよいビジネスをするその精神、素晴らしいものであると思います。
しかし、鉄道駅や空港、SA/PAと道の駅をこよなく愛するraf00としては、こうした景色をとても残念な思いで眺めています。

SA/PAで美味い物といえばじゃがベーやご当地具材を乗せたそばくらいだった時代、喫茶店製に毛が生えたようなカレーを1300円で提供する空港の軽食コーナー、その駅の名物ゴリ押しの駅弁、新幹線の中の味も素っ気もないサンドイッチ。

それらは確かに「大して美味くもない、おもてなしの精神に欠けた」ものでしたが、しかし「旅の途中」であるこれらの「駅」ならではの空気を感じさせるものでした。本当に美味いものは目的地についた先で、でも途中の「駅」で食べるしょうもない食べ物の数々は旅の途上でちらりとその場所らしさや、旅をしている感覚を沸きたてるものでした。
また旅の帰りに美味かったいろいろを思い出しながら、それらの思い出を色褪せさせない無味乾燥さでもそもそと小腹を満たす存在でした。
空港の外には、駅の外には、SAを下りていたらもっとまともなものがあるだろうに、旅をしているからそれらを食べなきゃならない、そんな旅のちょっとした苦行。旅の実感はいやおうなしに高まるものです。

しかし、随分と変わってしまったものです。
羽田空港はショッピングモールのようになってしまいましたし、SA/PAはちょっとしたアミューズメントパークのように変貌しています。全国的に著名なラーメン屋や現地の名店が支店を構え、地域を感じさせない妙にとろっとろなプリンやオシャレな焼き菓子などのスイーツが並び、立派なグルメを求められる場所になりつつあります。旅の途上で立ち寄った場所の味を本格的に楽しめる…場所によっては市街地以上にご当地グルメを楽しめたりもします。
全力で美味しく、便利で、丸一日おもてなしできる素晴らしい施設。
大変結構なことですが、旅の途上で旅の目的地以上の感動を得てしまう機会も増えています。それは決して悪いことでしょうが、旅先のホテルに着いた時点で「あぁ楽しかった!」と言えてしまうのもどこか寂しいものです。
あぁそしてどこにでもあるマックが!スタバが!コンビニが!いとおしいSAを、空港を侵食しつつあります。
どこにでもあるマックなんてわざわざ高速道路走りながら見かけたくないですよ。スタバなんてオフィスビルとショッピングモールでノマドや情報感度遅れがちな女子が行ってりゃいいんですよ。コンビニなんて便利すぎますよ、売店でブラックブラックガムが買えればそれでいいんですから!

というわけで、既におっさんの感傷ではあるものの、おもてなしがすぎる最近の「駅」の進化にはちょっと寂しい思いでいたりするのです。