格安だけどフルパワーで使える。Zenfone5レビュー

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自宅デスクに座ると6つのディスプレイに囲まれているraf00です。

さて、先日楽天モバイルのブロガーイベントに参加し、楽天モバイルSIM1年分とZenfone5の無料モニターになってから、数週間使い倒してみたので、Zenfone5について語りたい。語っていきたい。

【国内正規品】ASUSTek ZenFone5 ( SIMフリー / Android4.4.2 / 5型ワイド / microSIM / 32GB / LTE / ゴールド ) A500KL-GD32
今回、ブロガーイベントでZenfone5を入手してしまったわけですが、そもそも昨年の日本発売発表以来、欲しいなぁ欲しいなぁと悩んでいた端末です。
何がいいってAsus製。
ネットブックでEeePCを発売した頃からのAsusファンで、このメーカーの「割り切りのバランス感覚」と質実剛健なデザインを高く評価しています。
かなりの格安価格帯にチャレンジしているZenfone5も、きっとAsusなら良い感じに仕上げてくるだろう…と思っていましたが、実際使っていると、「いい仕事してますな」の一言。

なんだか世の中には「自分の審美眼に賭ける勇気を持てる人だけに買うことが許されたやせ我慢の必要な端末」をありがたくありがたく購入して、必死にライフスタイルを端末に合わせていかなきゃならない人もいるようですが、Zenfone5は日常利用に十分に耐え、多くの人に勧められる端末であると感じました。

■デザイン

かのAppleポエムの大家のように「ダイヤモンドカットされたエッジがきれいに光のきらめきを放ち、まるで宝石か化粧品のボトルのような」とは申しません。Zenfone5のデザインに関しては各サイトのレビューで「思いのほか高級感がある」と評されることが多いですが、やはり格安端末らしさも残しています。

サイズはiPhone6よりもやや大きめで、ベゼルがハイエンド端末よりも広く取られているなとまず感じます。
厚みは10.34mm。これは裏面が曲面になっている最厚部の数値で、端の方はiPhone6と同程度なのですが存在感としてはiPhone6の倍はありそうな感覚です。このあたりは格安端末としてどうにもならない弱みと言えるでしょう。
背面カバーは取り外しが可能で、カバーの中にmicroSDやSIMカードを差し込めるようになっています。
この背面カバーの取り外しは若干のコツが要るため、最初は戸惑うかもしれません。ブロガーイベントでも開けない、開くのが怖いという声は多く出ていました。とはいえ2回目以降で苦労することはありませんし、カバーの中にSDカードが納まってしまうということもそれほど不便に感じることはなく(後述)、外見がシンプルになる点との差し引きで言えばプラスと言っても良さそうです。
背面カバー部に電源とボリュームボタンが設置されているので、カバーやボタンが破損したらカバーそのものを交換してしまうと言うこともできそうです。

なお、このカバーは落下させてしまうとパカーンと外れてしまうので、対衝撃性としてはリスキーです。できればケースを使いたいところ。

■基本性能

スペックシートの比較だけで、モノの価値を決めるなんて実はかなり「どうかしている」発想だ……
みたいなことを分析記事で書いちゃうと、それそもそもお前分析してないだろ…みたいなことになるので俺はポエりません。

zenfone5のCPUはSnapdragon400。iPhoneやXperiaなどのハイエンド端末に比べると性能は劣りますが、メモリは2GBと奮発しています。こういうバランスの取り方、大好きです。
低性能とはいえ、日常利用するようなアプリやブラウジング、動画閲覧、パズドラ/モンスト/消滅都市など現在主流のソーシャルゲームを使っている範囲においてはスペックの不足は全く感じられません。メモリ量は多く複数タスクが溜まっていてもパフォーマンスの低下は見られず、メモリが重くなってきた場合もAsus公式のメモリクリーナーアプリで掃除できるので、実に快適な使い込みができました。
地図やナビアプリも特にスペック不足を感じることはありませんが、3Dゲーム(アスファルト8/Traffic Racer)では若干のもたつきを確認しています。こうしたヘビーなゲームをプレイする人は注意したほうがいいかもしれません。

記録装置は8GB/32GBを楽天モバイルで選べ、モニター端末は8GBと少ないのですが、64GBまでのMicroSDカードを刺せ、アプリインストールデータはMicroSD側に入れておくことができるので8GB版でも十分にフルパワーで利用することが可能です。
ただしこの場合、MicroSDカードは基本つけっぱなしで利用することになり、細かなカードの差し替えにむかなくなるので、自炊した書籍データや動画データを大量に活用するなら32GBモデルを選んだほうが良さそうです(ただ、その場合も前述の背面カバーをいちいち開けたり閉めたりするのが若干面倒臭いので、それも含めて考えるとROM8GBと64GBSDカード1枚でやりくりしちゃうのが手っ取り早い感覚)。

NFCはなし、おサイフケータイ非対応、防水対応せず、ワンセグ/フルセグなし…と、Android端末に多く搭載された機能は大胆にカットされていますが…よく考えたらこれら全部iPhoneにも入ってないや。ただしなぜかFMラジオ機能は搭載されています。radikoは便利ですが電池消費少なくFMが聞けるのでこれは便利。

■レスポンス

iOSの異様なほどの完成度を誇るぬるぬる感とは異なり、キビキビサクサクと動きます。全速力でフリック入力をしてもブラウザで高速スクロールをしても十分についてきてくれるので、操作感には問題を感じないでしょう。
ただ、高速フリック入力をした時にiOSの場合、わずかに遅れて表示されるために気にならない吹き出しがAndroid端末では妙にチカチカ目に映るのはちょっとだけ気になるところ。

■バッテリー

2110mAhというバッテリー容量はiPhone6よりは多いものの、最近のAndroidハイエンド端末に比べれば少なくなっています。
実際に使ってみると待受時の電池消費は少ないものの、使っていると使っただけ普通に減るな…という、良くも悪くもない感覚。昔のAndroid端末のような「使っていないのになんでこんなに減るんだ…」というものではないので、利用頻度が多いならモバイルバッテリーを使えばいいのではないでしょうか。
ていうかヘビーユーザーなら持ってるでしょモバイルバッテリー。普通に使えりゃバッテリー容量とか関係ないでしょぶっちゃけ。

■メニュー

Zenfone5で嬉しいのがメニュー画面がほぼAndroid標準のまま使えること。メーカーカスタマイズメニューってどうも使いにくいので、Nexusシリーズと同じシンプルな構成で使えるのはありがたいですね。
画面左上からスワイプすることで通知画面を表示、右上からスワイプすることでクイック設定メニューを表示でき、クイック設定はメニューが豊富で電卓や懐中電灯、機内モードのon/offなどが簡単に呼び出せます。
1画面あたり4×5アイコン分の表示領域を持ち、ウィジェットでカスタムできるのはAndroid共通の強み。

■独自アプリ

Zenfone5には数多くの独自アプリがプリインストールされています。メモリ開放や画像ビューワー、ファイル管理のアプリはシンプルで使い勝手がよく、Android定番アプリを使う必要のないクオリティ。
またPCとリンクするアプリもいくつかインストールされており、これを使う機会があればかなり良さそうです。

■文字入力

ATOKがプリインストールされているので、日本語入力環境は実に快適です。格安スマホなのに1500円のアプリが入っているというのは実に太っ腹。ただまぁ…raf00は各Android端末にATOKを入れながらもgoogle文字入力を使っているのですが。

どちらのアプリもAndroidの場合文字入力フィールドの範囲を自由に調節することができるので、手の小さい人でも安心して使うことができます。
で、これはもうAndroidOS共通の特徴ですが、そもそも文字入力はiOSよりもはるかに使いやすいんですよ。
iOS標準のクソすぎる変換に悩まされることもなく、左右の矢印キーがついているので、入力箇所の指定もしやすい。
コピペも実用レベルで使えます。
長年iPhoneを利用してきて、ストレスを溜めないように意識的に文字入力のヘボさを無視してきたことを、改めて思い出させてくれます。
これは実にありがたいことです。

■カメラ

800万画素のカメラを備えていますが、これはiPhoneに比べると使いにくさを感じます。
全体的にコントラストが強く出すぎたり、普通の光量がある場所でもノイズがかかってしまったりと、あまり品質は高くありません。
ナイトモードで撮影した場合はiPhone以上によく撮れたり、ボケを追加するモードを始め、様々なモードが存在したりするのですが、これをメインとして使いたいか…?と言ったらちょっと躊躇うものがあります。

■まとめ

Zenfone5をまとめようとすると「格安スマホとしてはバランスが良い」「ストレスのない普通を達成している」など、結局よくわからない結論に達してしまいがちですが、あえて様々な機種と比較して特徴を挙げるならこんな感じになるでしょう。

通話・ブラウジング・アプリ利用などスマートフォンに求められる基本的な機能は妥協しない仕上がりになっている。ハイスペックなアプリやNFC利用など明確なニーズがある場合は非推奨。カメラは残念。

Android端末はオプション全部盛りのハイクラス機が多く、シンプルで十分な性能を持つNexusはハイスペックながら融通が効かず若干コスパが悪いことを考えると、意外と独特な立ち位置にあります。

というところから、前回エントリで述べたようにお子様に買い与えるには最適な端末と言えます。
通常利用するようなアプリは一通りストレスなく使えますし、ブラウジングなども遠慮なく使えます。LINEの登録には難がありますが、楽天モバイルと併用すれば通話やメールも安く使えますし、難儀な容量制限も子供に与える視点では「のめりこみすぎの予防」としてメリットが新しく生まれてくるかもしれません(子供に存分に使い倒させたいなら、IIJmioを選ぶべきですが)。
NFCなどの子供があまり有用としないだろうオプション機能をカットしてコストダウンしているので実に子供向きでありましょう。
ただし、子供向けとしては若干タフネスさに欠けるように感じられるため、ケースは即時購入しておいたほうが良さそうです。

一方で大人としてこの端末がベストな選択肢になるのは…まず、混沌の中に秩序を生み出したり地殻変動を起こしたり我々に新たなライフスタイルを提供したりAttitudeを提供したりしているiPhoneを持っていながらフルパワーで利用し切れていない人。

つーかですよ、Zenfone5にあれが足りないこれが足りないって考えているのですが、iPhoneだって防水なわけでもNFCが使えるわけでもお財布ケータイになるわけでもないですし、文字入力はすこぶるクソだし、ファイル管理でitunes使うの面倒臭すぎるし、指紋認証は便利だけど別にパスワード入力でも困りはしないし、「iPhoneにしかないアプリが…」って考えてはみたけれど日常使ってるアプリの多くはAndroid版も提供されていて、物によってはAndroid版の方が便利だしと、iPhoneならではのメリットとしては「ケースの種類が豊富でオサレ」くらいなものなわけで。
そのiPhoneを正直持て余しているのであれば、かつ、カメラの写真に圧倒的な美麗さを求めず普通に使えれば良いと考えられるなら、Zenfone5に乗り換えても幸せになれそうです。

セカンド端末としては、Zenfone5は実に標準的であることから使い道を考える必要があるでしょう。
しかしiPhoneを使っているブロガーやSNSヘビーユーザー、ヘビーネットワーカーには魅力的です。
文字入力とブラウザ・アプリ間連携に優れたAndroid端末はスマホでのネット活動においてiOSよりも利便性が高いので、情報収集と文字入力をzenfoneに寄せるという使い方は至極捗ります(捗ったからといってブログ更新数は増えませんが)。

しかしこう、Android端末も随分進歩してきましたな。3GSからこちら操作感の完璧さとシンプルで妙なトラブルのないところからiPhoneを選択するしかないような状況でしたが、ようやくまじめに考えることができるようになってきました。Zenfone5はそんなAndroidの魅力を端的に感じられる一台。ちょっと触ってみても良いかもしれませんぜ。

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