エイプリルフール生まれのraf00です。37歳とか嘘であってほしい。
LIGやバーグハンバーグバーグ、LINEとクライアント企業によるオモシロタイアップコンテンツマーケティングがこの数年かなり本腰を入れて展開されており、一年中がエイプリルフールといった様相を呈しています。……デイリーポータルZもオモシロタイアップコンテンツマーケティングをやってる?あれはクライアント企業が金と人を出してデイリーポータル企画に出演する権利を得るものなのでタイアップとは違います。
これらのオモシロコンテンツが出ている中、4月1日のエイプリルフール企画も続いていますが、インターネットにおけるエイプリルフール企画はただでさえ新年度で発表の多い中に嘘を組み込むので厄介でしかないし、年度末のリソースを無駄食らいするので実施企業内の雰囲気は悪いし、WEB技術の進化に伴って制作リソースはどんどん増えているし、本気で騙しにかかるとマジクレームに繋がるし、UIを弄ると本気のクレームは来るし、ヌルいネタでお茶を濁すと嘲笑されるし、天丼を狙うと「手抜き」と言われるし…などなど、デメリットが多い割にわざわざやる意味合いは少なく、しかし1度始めるとなかなかやめられないので、今年も多くの企業がエイプリルフール企画を敢行したようです。
で、そんな中であまりよろしくないエイプリルフール企画も出てきたようです。
ホットペッパーグルメの公式企画。
クーポンを使うと料理の量が減る!? あの炎上ニュースの真相を探る!
以前『クーポンを会計時に出したら、「最初に出さないと料理の量が減らせないから困る」、と言われた』という話題が盛り上がりましたが、世界的なネタ職人である地主さんがリクルートに呼び出され、「実際にクーポンを使うと料理の量が減るのか?」を検証することになる…というストーリー。
とはいえ「調査せよ」と言っても取材店舗の全面協力の下、嘘企画が進行します。
エイプリルフール企画なので「嘘ですよ、企画ですよ、仕込みですよ」という言い訳は前提になりますし、そもそもの元ネタからして真偽が定かでなく、「そういう例もあるかもしれないが、それ自体チェーン店では非効率だし印象も悪いし…」と炎上に乗る気にもなれない話ではあるのですが。
しかし、エイプリルフールだからって、リクルートにとって、クーポンビジネスにとって真剣な調査実態把握(消費者に反映すべきかどうかは別問題)が必要である火種をこういう形で茶化して良いものなのか…というのは砂抜きしていないアサリを噛み締めたような気持ちになります。
「クーポンで料理の量が減るなんてありえないよ!」というメッセージを完全な仕込みで伝えるのは、クーポンビジネスを牽引する企業のスタンスとして適切なのでしょうか。
そしてストーリーは「クーポンの有無では料理は変わらなかった、だが隣に来た美人には同じメニューなのにすごい量が!」と進みます。
非モテキャラクターを持ち味とする地主さんらしく、企業タイアップコンテンツとしては常道の「ネタとしては全然面白くないけど、とりあえず美人出しときゃPV稼げるからオッケー」という戦略に基づいた展開であり、オモシロコンテンツマーケティング的にはよくある話ではあるのですが。
しかしこう、ネタであっても「客によってサービス内容は変わる」というアングルを用いちゃっていいものかどうか、安いステーキを食べたような、いつまでたっても筋が口の中に残りさりとて飲み込むには量が多い…そんな時の気分に近い印象を受けます。
ここまでで2つの違和感を感じたホットペッパーエイプリルフール企画ですが、これだけでは終わりません。
さらに話は「企画終了!協力してくれた店舗と記念撮影をしたけれど美人には妙に愛想が悪い。一方世界の地主さんとの撮影ではニッコニコ。あれっと思ったらゲイやでぇぇぇぇえ!!」と。うわぁ、昨今センシティブな同性愛ネタで締めちゃったよ…。
なんでしょうこの畳み掛けるような「エイプリルフールでやっちゃダメなこと」の連続。
コース料理が美味くないんで安牌っぽい唐揚げ頼んだら油ギッシュで後味最悪だったような気分になります。
それぞれは大炎上するような要素ではありませんし世界の地主さんのキャラクターがそれぞれの不快要素を緩和しています。しかしそれでも、たこ焼きを食った後に歯の間に挟まる青海苔のような感覚は拭いきれません。
エイプリルフールを使ってこうしたメッセージを放つことに対する意味、問題の火種を自ら茶化す企業としてのスタンス、繊細な領域の話題に踏み込んじゃう是非。
すぐに炎上する世の中になり自由なユーモアが出せなくなったなどと言われるご時勢であり、確かにもっと大胆に攻めても良いのではないかと思う事柄は多いのですが。
しかし、これはどうなんでしょう。