ココロコネクトのドッキリに関して思う

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ココロコネクトが燃えている。

事の次第は声優の市来光弘さんを「ココロコネクト」の偽オーディションに呼び先行上映イベントでドッキリと発表、同時に「宣伝部長」に任命され、日本全国を回る過酷な仕事につかされるというものだ。
詳しくは【パワハラ】アニメココロコネクトのドッキリ企画が鬼畜過ぎると話題に【まとめwiki】に書かれているのでこちらを見ていただくとして。

この話題、市来さんに対する非情なドッキリとその後の宣伝部長としての活動の過酷さ、関係者の反応の冷たさから2ちゃんねるを発端として大きな炎上になっている。

そんな中で、このドッキリの非情さについてよいエントリが上げられていたりもするのだが、
[その他]ココロコネクト問題について思ったことを普通に書くよ
ふと思ったのだ。

この偽オーディションって、「スターどっきり(秘)報告」的な存在として見ているけれど、実際のモデルって違うんじゃないかと。kyoumoeさんのエントリで語られるように、スターどっきりのパターンとしては、

・対象に望外の幸せが舞い込む

・事態が悪い方向に進む

・対象、追いつめられる

・ここでネタバレ、対象はホッと胸をなでおろし、我に返ってオロオロした自分を恥じる

というものが多い。(単純にビックリさせるシリーズも多く、ブーブークッションシリーズ他個人的にはそれらが好きだったけれども)
しかし今回のココロコネクトドッキリは次のようなストーリーになっている。

・何も知らない市来さんが偽オーディションに呼ばれる

・偽オーディションはつつがなく終了、先行上映会に市来さんが呼ばれる

・舞台上で市来さんのオーディションが嘘であったと発表

・愕然とする市来さんに対し、「日本全国を巡る宣伝部長就任」を発表

・うなだれる市来さんはしぶしぶながら宣伝部長として日本全国に旅立つのであった

このパターン、どこかで見たことがある。
「ぼんやりした主役を周囲が騙して企画発表の場に誘導、突然発表されるむちゃくちゃな企画!そして心の準備もできぬまま馬鹿げた旅に出発!」……水曜どうでしょうじゃないですか。
そう考えると納得がいく。仕事の少ない市来さんと水どう以外目立った仕事もなかった大泉洋。
仕事に関するウキウキの大チャンスそして一転過酷な旅へ!
この一連の流れをイベントとして笑いとともに伝えたかった…というのが企画者たちの意図だったのではなかろうか。

でもね、非常にまずいのですよ。

水曜どうでしょうは各企画、必ず「大泉洋を騙して企画発表」するというパターンを持っていて、ウキウキする大泉洋を奈落に落とす演出がウリではあるものの。
大泉洋としても水どうが過酷な旅番組であることを(少なくともサイコロ3までには)理解していて、「騙される」こと自体に問題を憶えるわけではない(騙しに対してリアルに激怒したのは、夏野菜で一度ならず二度目の騙しが入った時くらい)。
また、ただ大泉洋を騙して辛い目に合わせるのではなく、騙しの仕掛け人たる藤村D、嬉野D、ミスターの3人が自ら旅を企画し、自ら挑戦するところが特徴だ(騙される大泉自身も「今笑ってるけど、辛い目に合うのはお前らなんだぞ!」と幾度となく叫んでいる)。

この形式であるからこそ、水曜どうでしょうは一方的ないじめではなく、ひとつの楽しいお約束として成立するのだ。

さて、ココロコネクトはどうだっただろうか。
過酷な展開を共有しただろうか。市来さんに救いとなる要素があっただろうか。
ドッキリに騙されて、それでも旅に向かえる要素があっただろうか。
仕掛け人・関係者は市来さんをフォローできただろうか。

北海道のローカル番組として始まり、テレビ業界に大きな大きなインパクトを残した水曜どうでしょうはその後の様々な番組に模倣されることとなった。地上波のバラエティなどでも同様のパターンでひたすら実りのない無茶をする企画が多く見られた。
しかし、それらがきちんと出演者に報われるものになっているだろうか。
「水曜どうでしょう」は、「過酷な移動を続ける」というそれそのものをエンターテイメントとして提供した。10時間の移動がいかに苦しいかをオーバーに演出し、ムチャに見合うだけの価値を提供した。

水曜どうでしょうの模倣者たちはそれをきちんと理解しているだろうか。

本件の詳細に踏み込むのは知識が不足しているためここでは避けるが、そんなことを思った。

追記:「進め!電波少年」に近いのではないかという指摘があった。電波少年は「無茶をさせますよ」と言って無茶をさせる点が異なるとは思うが、悪ノリ感は似ていると思った。