F1レギュレーションの変更の弊害にまた新たな展開。
今度は「マシン最低重量規定がダメダメで、各ドライバーが過剰なダイエットを始め、レース中のドリンクを飲まないドライバーも出始める」という問題が発生。ベルニュが過酷なダイエットのしすぎで入院するなど今後のF1議論がまた悪い方向で盛り上がりそうだ。
また、バーレーンGP開催中に事故後回復が気遣われていたミハエル・シューマッハの意識が時折戻る瞬間があると報じられた。厳しい状況でのポジティブなニュース、このまま完全な回復が難しかったとしても意識が戻ってくれればと願わずには要られない。
■予選
3戦目にして初めてのドライ状態での予選となった。
言うまでもなくメルセデスが圧倒。3位以下に0.5秒以上のマージンを作った完全独走状態となった。
3位以下は混戦で、34秒台に8台が入ったが、昨年の覇者ベッテルがQ2で脱落している。
■決勝
スタートからメルセデスの2台が飛び抜け、以下は混戦模様となった。
スタートから2ストップ作戦でじわじわと順位を上げ中盤ではメルセデスに次ぐ3-4位を走ったウィリアムズ、今年表彰台下で善戦を続けているフォース・インディアが続き、以下フェラーリ・レッドブル・マクラーレンが激しいバトルを繰り広げる展開に。過去2戦とは打って変わってDRSが大活躍し、レースは各所で抜きつ抜かれつのバトルが演じられる。
41周目、ザウバーのグティエレスがロータスのマクドナルドに側面から追突され、きりもみしながら吹っ飛びセーフティーカー導入。これにより2ストップ組のアドバンテージはなくなった。
3位以下に大差をつけていたメルセデスだが、SCが入り燃料に余裕が出たため再開後は激しいバトルをしながら3位以下に2.5秒差をつけながら驚異的な独走。ハミルトン-ロズベルグの順位のままチェッカーを受けた。
3位には上位で粘りつつ多くのオーバーテイクも見せたフォース・インディアのペレスが久々の表彰台。またベッテルを実力で抜き去りようやく初ポイントとなるリカルドが4位。ヒュルケンベルグ・ベッテル・マッサ・ボタス・アロンソ・ライコネンと続いた。
■レース感想
過去2戦では見えてこなかった「燃料制限をしなかったらどれだけ速いのか」が見えた。メルセデスが3位以下に対して見せた1周2.5秒差はあまりにも驚異的過ぎる。これだけのタイム差が出るのは92年のウィリアムズか、88年のマクラーレン以来ではなかろうか。
3位以下が完全に団子状態でポイントを喰い合う格好となっているため、早くもコンストラクターズは確定、といってしまって良い展開になっている。
メルセデス以下のチームは得手不得手が見え隠れしながらも熾烈な状態で、ヨーロッパラウンドの開発でどこが先に上がってくるかが期待される。各チームDRSを使い心臓が止まるような同僚争いを演じていて非常に見応えのあるレースだった。
しかし、追突時の危険性を問われハイノーズが禁止されたが、ローノーズを採用してわずか3戦で2度、すくいあげるような形でマシンを跳ね飛ばしてしまうクラッシュが発生している。後方からのカマ掘りをした場合、頭部への直撃もありえるので恐ろしい。
■チーム別評価
・メルセデス
桁違いに速く、燃費効率が優れ、タイヤにも優しい。完全な状態で完全なレースを見せた。決勝レースでは初戦のハミルトンのリタイヤを除き、完全勝利を続けている。
ハミルトンとロズベルグはこれまでに数度順位を競って衝突しているが、カート時代から親しい仲でありそれが今回でも崩れていないことがレース後に見受けられた。単独首位を走るチームにエース二人体制…となれば衝突するのが恒例だが、この2人の場合それが当てはまらず、チームの好調に結束が固まっているかのようにすら見える。
現状全く死角なし。3戦連続表彰台のロズベルグが61ポイント、2連勝中のハミルトンが50ポイントと、早々にコンストラクターズ100点突破を果たしている。
競り合えるチームは果たして出てくるのだろうか。
・ウィリアムズ
速さは確実に持っているはずだが、2ストップ作戦が裏目に出て今回も大量得点獲得のチャンスを逃した。
マッサとボッタスの小競り合いによって若干の損を今回もしており、追う立場としては非常にもったいない。
古豪の上位復活は喜ばしいが、ここらで一つ結果がほしいところだ。
・マクラーレン
バトン・マグヌッセンともマシントラブルによりリタイヤ。今回は前2戦のような好走は見られず、上位からじわじわと順位を落とす姿が見られた。ヨーロッパラウンドまでに各車が改善してくる中、もう少しポイントを稼いでおきたかった、というのが正直なところ。特にこのバーレーンで5位7位に終わったダメージは後半表面化してきそうだ。
・フェラーリ
走らないマシンを天才ドライバー2人の実力でカバーする厳しい3戦目。
上位にはいるものの、守って抜かれるしかできておらず、順位の入れ替わりの激しいバーレーンでも追い抜くシーンは少なく、順位を守りきれていない。
位置的にはトロ・ロッソと競り合うレベルに低迷しており、燃費も悪く、直線のスピードも遅い。
ドライバーは最高なのだが。
・レッドブル
前2戦で際立った速さを見せているリカルドは、今回も予選でベッテルを上回り、決勝でも大胆な追い抜きでベッテルよりも高い位置でゴールした。移籍後3戦で今後の明るい将来を確約する走りを見せており、評価は高い。一方のベッテルは未だマシンのパワーを引き出せておらず、予選・決勝共に冴えない。
チーム力はリカルドを基準にすれば表彰台を狙える速さは持っており、作戦面でのサポートが万全であれば上位に留まることは可能。しかしメルセデスとの差は大きく、連続チャンピオンは難しそうだ。
・ロータス
マルシャと競り合うのが精一杯なロータス。今回はマシントラブルも少なくフリー走行でも充分な走りができたが戦えるマシンではない。
さらに今回グティエレスに側面アタックを仕掛けたことで、次戦予選順位5位降格が決定。
昨年評価の高かったマルドナドだが、今年は冴えない。
・フォースインディア
チームの総合力ではメルセデスに次ぐポジションにある。
ヒュルケンベルグは3連続の上位完走でドライバーズランキング3位、ペレスもここで結果を出し久々の表彰台を獲得した。ストレートスピードの速さに加え、今年は安定性も持っている。例年であれば後半戦で速さを増していくチームだがシーズン中開発はどう出るか。この勢いは持続しそうだ。
・ザウバー
マルドナドに追突されグティエレスは宙を舞う大きなクラッシュに見舞われたが怪我はなかった。
スーティルもチルトンに接触されリタイヤ。すっかりケータハム・マルシャと同等のチームに落ちてきている。
・トロ・ロッソ
クビアトが11位、ベルニュがリタイヤし、連続ポイントが途切れる。
このチームの場合、チーム単独の評価よりも「レッドブルと同じくらいの戦闘力を持つと見分けが付きにくいので困る」というところがあり、正直活躍はほどほどにしてほしい。
・マルシャ
マックス・チルトンが13位で完走し、コンストラクターズの順位を10位に戻した。ビアンキはスーティルと接触し、2戦連続のペナルティポイントを受ける。
・ケータハム
初めてフリー走行初日から充分なテスト距離を稼げている。
決勝も小林可夢偉が完走し再び走行データを蓄積できた。エリクソンは今年の新人の中では小粒で、スタートにこそ成功したもののオイル漏れによりリタイヤ。
それにしても可夢偉のスタートは3戦連続で速い。全く戦えないマシンで頑張っていると言えばよいのか、下位集団を乱す効果しかないと言えばよいのか。
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