入社6日目の今日、ライフネット社長炎上を振り返る。

スポンサーリンク

いやぁ春から良い炎上です。raf00です。
はてなやデイリーポータルZなど、ガツンと目立つんだけど購入意欲は全く掻き立てられず、印象に残るほど面白いかっていうとそれもまた答えにくいオモシロコンテンツマーケティングで有名で、本業に関する評判はこれまで一つも聞いたことがないライフネット生命の社長兼COO、ヤング・グローバル・リーダー岩瀬氏が新年度エントリからホップ・ステップ・ジャンプで炎上地獄に飛び込まれたようです。

入社2日目の明日から試して欲しいこと
入社3日目の今日から試して欲しかったこと(魚拓)
ブログ内容に関するお詫び

経緯としては4月1日に新社会人向けのアドバイスを書いたものの、これが大いに反感を生んでカチンときたことで「逆説挑発エントリ」を展開、これによってこれまでのオモシロコンテンツマーケティングのように「ライフネットさんたらオチャメ☆」というネットの反応を期待するも、返ってきたのは近年では稀に見る呆れ顔。この反応でヤバさを感じたか、お詫びエントリを書くも今回なぜ炎上したかを理解できていない様が改めて明らかになり、見事炎上保険引き受け不可リストに入っちゃったね♪という状況になっています。

今回の炎上事案につきましては
1)第1エントリで初期出火。ただし爆発炎上というものではなく、異論反論というべき反応
2)第1エントリの反応に不服で、挑発的な第2エントリを投下。ここで正式に炎上
3)第2エントリでの反応にビビり、当該エントリを削除してピントのずれたお詫びエントリを投下
という非常に美しい、教科書のお手本のような炎上経緯となっており、大興奮を禁じえません。
特に削除された第2エントリの「エイプリル・フールだったので、ちょっと難しかったかな。」「すべてにディスクレイマーを書かないと分からない方もいるようなので」というあたりは、エイプリルフールで滑った失態を「うそうそ、アレはウソピョーン、こっちが本心だぴょーん」と取り繕う小学生のようなメンタルの所業であり、仕事そっちのけで耳を真っ赤にしながらブログを書いている岩瀬社長の御姿をありありと想像でき、大変味わい深い文章だと思います。
また、昨今流行りの言い訳である「真意と違った受け止められ方をした」という言葉を使われるあたりも、楽しいキャンプファイヤーに自ら積極的に薪をくべられるようであり、お見事であります。
さて今回の炎上ですが、言わんとされることそのものに関しては、けんすう氏も擁護されておりますが決して間違っていないと思います。
理想論の過ぎるインターネット住民からすれば反論を呼ぶことは間違いない話ではありますが、現実の社会において実際に役立つ社内サバイブハックであると言えましょう。

実際、「成果主義」がいたるところで採用されてはいますが、年功序列で社内政治など関係なく実力と成果だけが自分の立身出世に役立つ…などという会社はなかなかありません。
一人一人が経営者意識を持ち自立した仕事を生み出すべき!などと上司から求められる世の中ですが、現場を知らない役員共が日経新聞で読んだ流行りもしない最新情報を仕入れて新規事業として計画を始めてしまい、「経営者意識を持ってそのビジネスプランにもならない妄想にきちんと反論」したりなどすると会社の方針に背く不届き者として忌み嫌われたりなどするものです。一方で何も考えずに「はい!ぜひそれを推し進めてまいります!」などと手を挙げて当然の結果としてポシャりながらも「現場に本事業に対してネガティブな勢力がおり、結果につながりませんでした!しかし、さらなる投資をいただければ必ず!」なんて上に対しては従順に見える真の不届き野郎がいてもそっちの方が「前向きでやる気があり、向上心に燃える若者」として扱われたりするわけです。

非常に綿密なMBOを評価指標としている会社であっても、営業職など完全にその成果によって評価される職種でない場合において第一評価者が直属の上長であったりなどすると当然仲の良さや使いやすさなどを基準に評価を左右したりするわけで、こうした「僕は仕事にやる気のある人間です」アピールは有効な技術であると言えます。

ぶっちゃけ、個人的には飲みニュケーションも休日に会社同僚と過ごすことも、喫煙所コミュニティで役員などと仲良くなることも、非常に重要な事であると考えます。会社にとって役に立つんだか立たないんだかわからないセミナーや講演会に出かけるよりも、社外の才能ある人たちと交流を深めるよりもよほどその会社での評価を高めるには直接的に効果があります。

早く出社して新聞を読む、というのも例外ではありません。(正直個人的には新聞をざっと流し読むこと自体は偏りに偏ったネット情報を読む前段階として世間の関心を知れる点において「ネットで情報を収集してるよ!」って人たちにこそ必要であると思いますが、)新聞を読み、新聞を読んでいるおじさまがたの話についていけることは、2ちゃんまとめサイトを読んでいるよりは仕事上で役に立つことでしょう。
実際新聞を読むことが仕事の役にどれだけ立つかっつったら全然役に立たないのですが、社内にいるボンクラな上司に「毎日コツコツ同じことができるきっちりしている人」として信頼はされるようです。
そんなわけで、実際の仕事力だけでなく社内における立ち居振る舞いも「評価」において重要なこのファッキンな社会において、炎上当初の元エントリが言わんとする事自体は間違っていないと思うのです。
が。
これらは1社員が会社において居場所を確保するためのサバイブハックであり、肩書きを持っている方が言われるべきことではありません。
このサバイブハックは「努力するのではなく、努力しているように見せつけるもの」。社会人としての意識向上そのものではなく、「良い社会人であるように上司に見せて信頼を得るためのもの」なのですから。
「身なりに気をつけましょう。社会人としてたゆまぬ努力をしましょう」という言葉なら、経営者あるいは管理職として美しい言葉のままで伝わったでしょう。威力のない言葉になってしまいますがそれはまぁ仕方ない。

しかし、第2エントリで逆説を論じてしまったことで、いよいよ「能力云々はともかく、見た目やる気ありそうに見える人を信頼して仕事を振っていくからね」という恐るべきボンクラ上司コメントに変貌してしまいます。具体的な話を追加してしまうことで、いよいよ「勤務態度はイマイチだけど実績上げていけばいいんだろ」というアウトロー型社員を大いに軽蔑するスタンスを明らかにされてしまっているもの。第1エントリだけならいかようにも言い訳できただろうものを、第2エントリで確固たるものにしてしまっています。これは燃えます。

おそらく岩瀬社長は優れた能力に加えて、このサバイブ術を遺憾なく発揮し戦われてきたことでありましょう。よりヤングな頃よりグローバルな戦場で会社をリードされてきたのでありましょう。
社会人の先輩として、これから戦場に赴く新社会人たちに伝えてあげたい気持ちはとてもよくわかります。
しかしこのサバイブ術が「社会人」にとって欠かされざるものであり、将来を見据えていく上で備えていくべきものであってもなお、過去失言してきた多くの政治家、現在様々な批難を浴びているブラックな会社の経営者各位が「1個人の発言でなら問題ないが、肩書を持ってしまうとまずい」発言で業火に身を落としているように、やっぱ燃えますよこれは。

挙句第2エントリと第3エントリの展開がネットウォッチャー大喜びのダメ対応すぎますよ……。

なんといいますか、最近のインターネット炎上に対して「大したことでもないのにすぐ炎上する」と分析される事が多いですが、「話自体は間違っていなくとも、公にすべきこととぼんやりごまかすべきことが立ち位置によって存在する」ということがすっかり忘れられてしまっての炎上事例が非常に増加しているように見受けられます。まぁもちろんナチュラルに炎上すべくして炎上している人や、「リスクを取ってペナルティエリアに進んでいるのにファール取られると怒ったり落ち込んだりする」なんだかよくわからない人も多いのですが。

しかしなにはともあれ、2014年度の頭から良いキャンプファイヤーでありました。






しかしすさまじい数の著書をお持ちですね……。それはもう次の本次の本を作るのに多忙で、社員ひとりひとりの実態を把握する暇などなく、見た目やってそうな人に目をかけるしかなくなりそうです。

コメント