2014年F1GP第1戦 オーストラリアGP

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開幕しました、開幕しましたよ2014年のF1が。
というわけで、今年もグランプリメモを。

■予選

シーズン前テストで十分な走行ができなかった各チームが積極的にフリー走行で周回を重ねたが、ロータスとケータハムは金曜日に走行できず、土曜日のフリーからぶっつけ本番となった。
土曜日の予選は曇天で雨の予報が出ている。このため全車がQ1開始早々にトラックに出てタイムを出していった。Q1途中で強い雨が降り、ロータス、マルシアなどが脱落。早々に34秒のタイムを出していた小林がQ2進出。Q2では雨は上がったが路面はぬれたまま。この中でライコネンがスリップし、黄旗が出たままセッションが終了、バトン・ライコネン・ベッテルが脱落した。
新方式となり積極的な周回が可能になったQ3はハミルトンがPP獲得、レッドブルのリカルド、ロズベルグの順となった。新人マグヌッセンがこれに続き、以下アロンソ、ヴェルニュ、ヒュルケンベルグ、クビヤト、マッサ、ボッタスと中堅チームの顔ぶれが目立つ。
またボッタスとグティエレスはギアボックス交換のため5位降格となった。

■決勝

スタートを前にチルトン、ビアンキがそれぞれエンジンストールし、スタートが仕切りなおしに。ピットロードでは規定時刻よりも早く定位置についてしまったグロージャンにピットスルーペナルティが課される。
レーススタートと同時にハミルトンに遅れ、またロケットスタートを見せた小林がブレーキトラブルでマッサに追突、両者リタイヤする。
ロズベルグが先行、リカルド・マグヌッセンと続き、この隊列は広がりながらゴールまで変わらない。その後ろヒュルケンベルグとアロンソのバトルが激しくなり、ここを先頭として4位グループは密集しての戦いとなる。
中盤、アロンソらのグループを追い上げていたボッタスがウォールに接触、ホイールを割り、飛んだタイヤとホイールがコース上に落ちたためセーフティーカーが導入される。ボッタスはタイヤを交換し最下位から再び上位を目指す。
終盤、リカルドとマグヌッセン、順位を上げてきたバトンが競り合い、またアロンソのグループもにらみ合いを続けたが、順位に大きな変動はなく、ロズベルグが2014年の勝者となる。
リカルドはオーストラリア人として地元表彰台を飾ったが、レース後レッドブルが最大燃料流量オーバーで失格となり、マグヌッセンが2位、バトンが3位となった。

■レース感想

大きくレギュレーションの変わる2014年シーズンは、マシンの公開から例年以上に期待がされていた。大きく形状の変わるフロントノーズの解釈が各チームによって異なり、この開発成功失敗によって近年固定化されている序列が変わってくるだろう…あぁそれよりもカッコ悪いのが出てきたら困るぞと。
しかし驚くべきポイントはそこではなかった。ルノーエンジンの大失敗と、フェラーリエンジンもメルセデスに対して劣るものであることが事前テストで明らかになり、レッドブルなどルノーエンジン利用チームが全くテストを進められなかったのだ。
「他チームに比べ2ヶ月は開発が遅れている」とまで言われた中でのF1開幕。直前には「完走できるマシンがないかもしれない」とまで言われた中でレースがスタートした。

実際、ロータスやケータハムなどはレースをする以前の仕上がりのままといった印象を受けるし、各チームでクルー・ドライバー両面でマシンに対する不理解が見られる一幕もあった。
ベテランあるいは過去に大きな実績があったドライバーほどトラブルやミスを発生させ、新人の方が堂に入った走りを見せているのは印象的で、マッサやライコネン、ベッテルなどは新しいマシンを上手く処理できていないように感じられる。

緒戦の最終結果としてはメルセデスエンジンが表彰台を独占するという予想された展開に終わったが、そのメルセデスとてトラブルと無縁ではない。ヨーロッパラウンドに入るまでは大きなドラマが期待できそうだ。

新しいV6ターボエンジンの音がずいぶんと…旧時代のレースを見ているような気にさせる。エンジン音が低くなった分、タイヤをこじらせる音、サスペンションの鳴りがよく聞こえるのは面白い。
それは良いのだが、燃料100kg制限はやや興ざめさせてしまうかもしれない。燃料をセーブしながら走らなければならないというのは先を走る車よりも追いかける車にとって不利に働きがちで、無駄なバトルは燃費の悪化に直結する。バトルを避けてピット戦略に頼るようではせっかくこの数年で増加したオーバーテイク戦争を、再びドライビングスクールに戻してしまいかねない。
正直、競り合いの面では久々につまらないグランプリに感じられた。
この点はどうにかならないものか。

■チーム別評価

・メルセデス
テスト期間の下馬評どおり、フリー走行、予選、決勝を通じて突出した速さを見せた。
予選ではルイス・ハミルトンがポールポジションを獲得したが、シリンダーのミスファイヤで3周目にリタイヤ、グリッド3番スタートのニコ・ロズベルグが見事なスタートを決めてトップに立った後、1位を譲らずに大差で優勝した。ハミルトンのトラブルでメルセデスエンジンも磐石ではないということがわかるが、それにしても速い。昨年まで悩まされたタイヤコントロールの難も開幕戦では見られず、完走できれば表彰台が狙える力があることを証明した。

・ウィリアムズ
テスト時点でメルセデスと並んで注目されたウィリアムズだが、開幕戦はアクシデントが相次いだ。
フェリペ・マッサは予選に失敗し中盤からのスタートを切ったが、スタート後の1コーナーで可夢偉に衝突されレースを終えている。
ボッタスは予選開始時点でギアボックス交換により5番降格ペナルティを受け15位からスタート。一気に順位を上げ上位に迫るがコース横のウォールにホイールが割れるほどの接触をして順位を落とすも、再びペースを上げて最終的に5位でチェッカーを受けている。
決勝はまともな展開ではなかったが、ボッタスの走りはメルセデス以外のチームにとっては脅威。
最悪のシーズンを過ごした昨年から、一気に優勝を狙えるチームに返り咲いている。

・マクラーレン
ウィリアムズと同じく最悪のシーズンを過ごした昨年からは考えられない躍進。
フリー走行・予選ではあまり目立たない存在であったが、決勝では堅実に順位を守り、(リカルドが失格となったことで結果的に)W表彰台を獲得、コンストラクターズポイントでトップに立った。
ケビン・マグヌッセンは1996年のジャック・ヴィルヌーブ以来の初レース初表彰台、初のデンマーク人のF1表彰台という華々しいデビューとなった。
結果的にメルセデスエンジンユーザーが表彰台を独占するという、シーズン前の多くの識者の予想が的中した形になるが、マクラーレンは来季ホンダエンジンに変更することが決まっており、今年活躍すればするほど来年のプレッシャーがかかるという皮肉な状況になっている。

・フェラーリ
メルセデスユーザーに比べ、ペース不足と燃料の制限が厳しいと評価されたフェラーリだが、フェルナンド・アロンソが予選決勝とも4位を粘りの走りで獲得した。キミ・ライコネンも7位フィニッシュをしており順調に見えるが、アロンソはフォース・インディアを抜けずに苦しみ、ライコネンは幾度もブレーキから白煙を上げるなど本来の走りができていない。現状表彰台を下回るパフォーマンスしか出せておらず、今後の走りに期待したい。

・レッドブル
「メルセデスに比べ何十馬力も違う」「後方の排気処理に誤りがあり異常加熱する」など数多くのトラブルを抱え、事前テストで悲惨な状況であったレッドブルだが、事前テストでの遅さは「ルノーエンジンがフルパワーを出させなかった」ことが原因であったようで、オーストラリアGPでは十分にトップを狙える速さは持っていることを示した。
ただし信頼性などは低いようで、ベッテルは予選で思うように走れずスタート後も数周でリタイヤ。トロ・ロッソから移籍したダニエル・リチャルドはその実力が期待されたが、それを上回る走りでレース中2位を確保し続けそのままチェッカーを受けた。
しかしレース後、燃料流量違反が見つかり失格となっている。
昨年までの圧倒的覇者が開幕戦で0ポイント、信頼性に不安、など苦しい局面に立っているが、チームが語る「他チームよりも開発が2ヶ月遅れている」というほど酷い状況であるのかは、次戦以降の展開を見て判断したい。

・ロータス
深刻な資金難。準備不足。エンジンの不調。事前テストでほとんど走れなかっただけでなく、開幕戦金曜フリー走行でも周回を重ねられなかったロータスに見せ場はなかった。グロージャンはピットスタートを余儀なくされたがさらに早く位置につきすぎたことでペナルティを受け、そして44周目にリタイヤ。マルドナドは29周目にリタイヤ。未だ「セッティングを煮詰める」といった段階に達しておらず、ポイント獲得までは相当の時間が費やされると思われる。

・フォースインディア
ニコ・ヒュルケンベルグとセルジオ・ペレスが6位10位とW入賞を果たした。
スピードが伸びきらないフェラーリに対して堂々たる走りを見せつけ、終盤まで上位争いに関わり続けた。十分にポイントを稼いでいけるマシンであることは想像に難くなく、次戦以降の活躍が期待される。

・ザウバー
深刻な資金難で苦しみ、またシーズンオフテストでも目立った記録を出せていないことから評価の低いザウバーであったが、2台とも11位12位と完走。最初のミッションを達成したが、オーストラリアで得られたのは「スピードが決定的に足りない」という経験であったようだ。19歳のダニール・クビアトは今回のポイントでヴェッテルが持っていた最年少ポイント獲得記録を更新。

・トロ・ロッソ
レッドブルよりも堅実なチームになってしまっているのは皮肉と言える。
決勝後半、フェラーリ・フォースインディアと競いながら9位10位のW入賞を果たした。

・マルシア
シーズン前テストではかなりの戦闘力がある…と見られていたが、雨の予選で定位置のQ1落ちの後、結集でもスタート前に両車エンスト、チルトンが最下位で完走した。ビアンキは6周目までガレージでエンジンの復旧をしたのちコースに復帰し、完走扱いにはならなかったものの、最後まで周回を重ねた。トラブルを抱えながらも走りきったことは評価できるが、速さに関してはオーストラリアGPの各セッションを見る限り期待できそうにない。トラブルが続く序盤戦で完走を続けられればコンストラクターの順位を上げられるかもしれないが。

・ケータハム
小林可夢偉が参入し日本では話題となっているケータハムだが、引き続き厳しい一年を過ごしそうだ。金曜日予選はまったく周回できず、土曜日フリー走行でようやく初めてコースに出ることができている。評価できる走行記録自体が足りないが、トップからは3秒強遅いマシンであるようだ。
小林可夢偉は予選では突然降ってきた雨のタイミングが幸いしてQ2に進出し、決勝でも好発進するもブレーキのトラブルでマッサ・ライコネンに追突し0周でレースを終えている。苦しい状況の中で個人評価を高めるチャンスであったが、2014年最初のリタイヤドライバーになってしまった。
エリクソンは可夢偉と比べ遅く、目立ったところのないまま27周目に油圧トラブルでリタイヤ。
ロータスとケータハムはルノーエンジンの不調をそのままテストからシーズンに持ち込んでしまっているようだ。

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