ハフィントン・ポスト一週間。意外な現状と今後への願い。

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先週オープンしたハフィントン・ポスト日本版。
リリース日にはぶわっと騒がれたものの、一週間経ってある程度……というかゲスなネット界隈ではほとんど話題にも上がらなくなっておりますね。

というわけでサイトを眺めてみますと、それなりに記事は充実してきており各記事のコメントもそこそこ付き、見る限りでは「ポジティブな言論空間」が形成され始めているのかな…といった具合で、存外悪くない感じですなぁはっはっは……とおもいます次第。

■意外と存在した、穏やかな空間でのコメント需要

現在のハフポを眺めていると、1記事あたり20件程度のコメントが付いている記事が多く、これはスタート一週間としてはなかなかに悪くない状態に感じられます。もちろん絶対的な記事数が少ない状態だからという側面はあるにせよ、これはサイトの意図が十分に伝わっている、と考えて良いのでしょう。

正直、このくらいハフポにコメントが集まるとは想定していませんでした。
アメリカでのハフポは「Web2.0華やかなりし頃に立ち上がったサイトだからこそ人気になった」ものと思っていたため、日本版は時期的に遅すぎるだろう、良くて記事だけ読まれてあとはソーシャルで盛り上がるだろう…と思っていました。
・リアルタイムにコメントが反映されないため、テンポの良い議論が行えない
・充実したソーシャルボタンが付けられているため、議論が外(ソーシャル)に流れてしまう
・編集部による確認を嫌ってコメントを付けるのを避ける
といったところを予想していたのです。

また、ハフポ日本版の話が出た頃から「オーマイニュースの再来」だろうなどと行っていましたが、リリース日のイベントで「ポジティブな言論空間……人にやさしい掲示板?1ch.tvじゃないか」と考えを改悪したことは正直に告白しておきます。
ログイン状態でコメントを見ると「返信」「お気に入り」の隣に「通報する」という物騒なボタンが設置されていたりするあたり、恐ろしい通報社会やで…と感じたりなどもしました。

しかし実際に一週間が経過してみると、特に荒れることもなく平和な景色が広がっており、これらの懸念はゲスの勘ぐりに終わったようです。その上で、「ブログやソーシャルアカウントでコメントをすることを躊躇う人というのは、ネットこの界隈では考えられないが、非常に大勢いるのだ」ということを思い出させてくれます。

yahoo!ニュースや株式情報サイト、各種Q&Aサイトなど、ネットには広く情報に対してコメントができ、このコメントが盛況ぶりを支えるサービスが数多く存在します。
積極的にメディアを立ち上げるのではなく、呼応して口を開く人たちというのは我々が思っている以上に多く、彼らにとってハフポは安心して発言できる空間と認識されたのでしょう。確かにソーシャルなりブログなりといったものは、我々のようなネトヲチゲス層が多く、安心して言葉を重ねられるものではありませんから。

彼らを取り込むことでハフィントン・ポストはネットの1メディアとして確たる居場所になっていくのかな…ということを感じさせてくれます。この点、初日にあれこれ言ってごめんなさい…とお詫びしたいと思います。

■著名人、誰が書いたら嬉しいのか

リリース翌日には安倍総理が寄稿するとの宣言があり、早速政治のど真ん中を突いてきています。
過去にも総理大臣メルマガが非常に多くの読者を抱えていたりと、内閣府のネット活動というのはなかなかグッジョブなのですが、これにより一定数の読者がハフポに集まりそうな見通しは立ちそうです。
またネット選挙解禁にともなって、政治家たちが積極的にネット活動を行うことが考えられ、ハフポはこの良い活動場所となってくれるでしょう。

で、政治家は良いとして、他に「ハフポにこの人が寄稿した!」と驚くとしたら誰なんだろう…というのはちょっと真剣に考えるところであります。芸能人?いやそれはそれこそブログでやっているのが一番ですよね。学者や批評家……ネットでは極めて熱いクマムシ研究者ははてなでブログを書いていますし、新規に出てきて興奮するタイプがいるか…というとそれほどでもない。
ネット著名人はそれぞれメディアを持っているのでそちらでやればよろしい。というか無料で参加するにはみんな手を伸ばしすぎてるし、手を伸ばしすぎているために今更ハフポに出てきてもねぇ。

アメリカなどと違い、日本には驚きのある「セレブリティ」が少ないな…と感じています。
宇多田ヒカルや坂本龍一などのように圧倒的なセレブたちが「我々と同じ立ち位置で発言したり燃えたりする」のをことさらに好んでいるという状況もまた、「寄稿」に対してそれほど期待をしていないところでもあります。
例外的に一人だけ、村上春樹が寄稿したならばアクセス大爆発するだろうなとは思うものの、他の作家であれば普通に納得して終わってしまいそうな気もします。

このあたり、ハフポに「何を期待すればいいのか」が我々読者として明確でないなと感じるのです。

ただ、ひとつ。
ネットの炎上人材だけは呼び寄せないでほしいな、と願っています。
池田○夫しかり、ハッ○ルベリーしかり、サンドバッグイ○○ヤしかり、ちきりんメイロマ上杉隆に佐々木俊尚しかり。
彼らを招くことで多少のアクセスアップはできるでしょうが、一週間経過時点での「穏やかな言論空間」が一気に崩れ、それこそBLOGOSのような炎上上等、人さえ集まればオッケー広告クリックされるのが正義、といった「既存のネットの空気」に堕してしまうことでしょう。
言論の格が下がる…と言いましょうか。これだけは避けていただきたいところであります。

■ハフポの未来はいかに

さて、予想外に穏やかな一週間を過ごしたハフィントン・ポスト日本版ですが、今後どうなっていくのでしょうか。
穏やかなコメントが見られ空気的には良い状態ですが、一方で爆発力がなく、かつての新聞社のWEBメディアのような雰囲気は感じられてしまいます。この穏やかっぷりは日経・朝日・読売が大々的に立ち上げたものの全く盛り上がらなかった「あらたにす」を思い出させます。

海外で成功する「ハフィントン・ポスト」の価値とは、「誰もが無視できないほど強力であるからこそ著名人が寄稿し、著名人が寄稿するからこそ個人も我も我もと集まる、その規模と盛況さがあるからこそコメントも多くなる」というポジティブなサイクルにあったと思います。「著名人が参加しているが穏やかに運営されている」ようでは進出の意味がない。もっとアテンションが集まる場所があるならそこに流れていくだけになるでしょう。

このあたり、どう根付いていくのか、あるいはそのまま進んでしまうのか、見守りたいと思っています。

と、ここまでは一週間経過時点でのハフポが意外と良い雰囲気だったので頑張ってほしいなという気持ち込めての考えでしたが、ウェブ黎明期から何周かの流行り廃りを体験して、やはり個人は自分のメディアで自分の言葉を発信していってほしいなぁと思っています。「ハフィントンポストで人気の○○さん」になれる人もきっと出てくるでしょうが、「××の○○」という肩書きではなく、自分のメディアを持つ個人として末永く活動してほしいものです。
あんまり「無料で寄稿する」という文化が広く根づいてほしくない、というところもあります。個人が儲かるかどうかはともかく、良質なコンテンツにはそれなりの価値が発生してほしい、その流れがきちんとできていかないと、もっと広いネット、さらに広いリアルのコンテンツ業界が将来的にさらなる苦境に立たされてしまうので。

んで、ちょっとtumblrでブログ作ったら意外と楽しかったので、そのへんも別エントリで書きたいな、と。

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