コロッケそばを語る

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ブログというものは書けば書くほど自分の方向性や強みが明らかになるもの…だと思うのですが、ブログを書くほどに自分がわからなくなっていく人もいます。こんにちは、俺です。

さて、Twitterでコロッケそばについて語っていたら、コロッケそばが食べたくて仕方がなくなり、コロッケそばを語りたくて仕方がなくなったので。語るよ!

コロッケそば

■コロッケそばとは。

コロッケそばとは、かけそばにコロッケを乗せたものです。
…と、その特徴を挙げるとたった27文字で説明が終わってしまうわけですが、「関東の、それも立ち食いそば屋でのみ見られる食べ物」という点でロマンに溢れ、語るに値するB級グルメであると言えましょう。
さて、「かけそばにコロッケを乗せたもの」という短い説明だけで済ませてしまいましたが、より詳しく見てみると…

・温かいかけそばに、冷たいコロッケが乗る。
・具材はネギ、また店により少量のわかめが乗る
・コーン・グリーンピース・人参のかけらが入った野菜コロッケが基本。肉はかけらも見当たらない。衣は厚く固く揚げたてサクサクとは程遠いしっとり加減。イモ部分もそのまま食すと「ホクホク」とはいいかねる高い密度で、じっくり汁に浸さないとほぐれない、しかし一度ほぐれ始めると止まらない、まさに「コロッケそばのためのコロッケ」となっている。
(例外的にコロッケそば普及の元祖的存在、小田急電鉄の「箱根そば」は薄いカレー味の付いたカレーコロッケを供している)

といった特徴があります。

■コロッケそばの起源と展開

コロッケそばは昭和50年代に小田急電鉄で展開している立ち食いそば屋「箱根そば」で始まったと言われています。銀座のそば屋「よし田」がコロッケそばの起源である、と語られることも多いのですが、よし田の「コロッケ」は山芋で練り上げた鳥のつくねを揚げたもので、和風でありいかにもそばに似合う上品な食べ物であるため、「コロッケそば」と呼ぶにはあまりにも異端でありまともであり、歴史の文脈に含めるにふさわしいものではありません。
以後立ち食いそば屋で急速に広まるものの、関東から外には出ることなく、今も関東ローカルの食べ物として知られます。
ほとんどのまともなそば屋では扱わないメニューですが、立ち食いそば屋の他にも一部の低価格な定食屋や学食などで見ることができます。

■コロッケそば論

関東で立ち食いそば屋を利用する人たちならば一般的なジャンクフードとして根付いているため、特に話題に上がることもないメニューですが、そばとコロッケという不思議な組み合わせからしばしば議論の対象となります。
ここではコロッケそば議論で挙がりがちな反論のパターンごとにコロッケそばの正義を訴えてみたいと思います。

「そばとコロッケ、別々に食べた方が美味いだろう!」

最も多く投げかけられる反論がこれです。
曰く「サクサクのコロッケを浸すなど不遜」「美味いそばにコロッケなんて!」。言いたいことはわからないではありません。しかし一般的なグルメの視点で語ってしまうのは愚の骨頂と言わざるを得ません。
戦場は立ち食いそば屋です。「美味いそばと美味いコロッケ」という前提が誤りなのです。
「美味くもねぇそばと、冷え切った安コロッケ」を別々に食べたならば切なさ炸裂です。冷え切ったコロッケを少しでもマシに味わうならば、目の前の温かいつゆで温めたい、そんな気分になっても不思議ではありません。そうして浸してみたコロッケが、味気ないつゆと絡むと意外と美味いじゃないか、コロッケを浸した味気ないつゆが油分と芋の甘みが加わることで意外と味わい深くなるじゃないか、コロッケが溶けてしまった丼も衣が加わるとおおなんだか天かすをくわえたようではないか…。
コロッケそばがなぜ標準メニューになったか、その正しい経緯を知ることはできませんが、コロッケそばという不可思議な食い物を前にしたとき、我々はその意外なマリアージュに驚きと納得を感じられることでしょう。
この偉大なB級グルメの正しい認識はこうです。
「マズいかけそばとマズいコロッケを組み合わせたら意外と美味い」と。

「衣がグズグズになるだろ」「ぼろぼろ崩れて溶けるじゃないか」

そういう食べ物であり、そういう食べ方です。
前述したとおり、モソモソした味気ない野菜コロッケを、関東のダシの効かないしょっぱい汁に浸して食べると甘みと塩味がほどよくジャンクにまとまるところが魅力です。ほろほろと柔らかく崩れていくコロッケはやさしく、天ぷらなどとはまた違った味わいを楽しめます。
崩れ具合はコロッケそばの愛好家の中でも流派があり、「軽く汁で温められた状態を好む人」や「崩れかけが好きな人」、「崩れ切ってしまったコロッケを汁と一緒に飲み下す人」などこのあたりは意見が分かれるところです。もちろん各ステージをそれぞれ楽しむ人も多いでしょう。過去に高校の同級生が、「丼が届くや、いきなりコロッケを箸で崩し大量の七味を投下してぐちゃぐちゃにかき混ぜる」という食べ方をしていましたが、これはさすがに例外と言えます。さすがに気持ち悪いわ。

「かけそばに冷たいコロッケ乗せたらそば冷めるだろ!」

ちゃっと入って勢いよく出てくるそばをすすり、「ごっそさん!」の一言とともにさっと出る…そんな立ち食いそば屋において、汁・具材までがアツアツで供されると逆に食べにくくて困る場合があります。アツアツの汁に冷たいコロッケを乗せることでほどよい温度になる、さらに最もアツアツな序盤にコロッケを浸しながら温度コントロールができるというのは、1分1秒を争う企業戦士にとってまっこと21世紀のライフハックと言えるのではないでしょうか。はい、ごめんなさい言い過ぎました。
しかし、多少の温度コントロールができるので、猫舌な知人が好んで食べているという事例はぜひ他の猫舌さんたちにもお知らせしておきたい情報です。

「立ち食いそばなら天ぷらだろ」

反論する要素が何一つございません。
写真を撮るために立ち食いそば屋にかけこんだ昨日、「春菊天」に目を奪われていたことは告白しなければなりません。
コロッケそばのような「味わいが汁に溶けて独特の旨みが出る」というところでは玉ねぎたっぷりのかきあげ天そばでも同様であり、油が広がって味が出るというところでは各種天そばに共通するところであり、グズグズに溶けた食感が好ましいと言うところでは衣ばっかりのエビ天そばでも味わうことができます。
しかし、しかしですよ。天ぷらそばは美味いところでいくらでも食べることができます。天ぷらが美味い店で食べるそばは格別です。一方で駅の立ち食いそば屋で美味い天ぷらに出会える機会なんてそうそうない。豪華そうな見た目をしながらガッカリテイストな立ち食い天そばは切ないものです。一方コロッケそば。コロッケそばは立ち食いそば屋でしか見かけることができず、その味に誰も期待しない。所詮はコロッケ、たかがコロッケ。そのコロッケが美味くなかろうとガッカリはしません。そこに存在意義があると……全然褒めてないって?仕方ないよコロッケそばだもの。

■コロッケそばを自宅で愉しむ

コロッケそばは「かけそばにコロッケを乗せる」というただそれだけのメニューであるため、関東在住の方でなくとも手軽に楽しむことは可能です。インスタントで「マルちゃん ほくほくのコロッケそば」も販売されているので、どろどろコロッケそばを楽しめます。
しかし「本気のコロッケそば」を追求するのはやめておいた方がいいでしょう。所詮はB級グルメ、激ウマなコロッケはそのまま食べた方がおいしいです。いやほんとに。

■一段上のコロッケそばを追求する

「所詮はB級グルメ」と言いましたがしかし、ただのコロッケそばのレベルをはるかに上回る食べ方は存在します。これはコロッケそば未体験のかたにも愛好家のかたにもぜひ一度お試しいただきたい食べ方です。
とはいえ簡単。
コロッケそばを供する立ち食いそば屋で、「カレーそばにトッピングとしてコロッケを乗せる」という食べ方。
うまいぞ!(顎を突き出しながら)

■余談1

コロッケそばの話題を出したらさっそく柳家喬太郎の名前が挙がったわけですよ。落語通とはお客さん、粋だねぇ。「時そば」っていやぁ落語演目の古典も古典、落語を知らない若ぇモンでも扇子片手にゾゾゾと食い真似してみりゃあ、「あぁ落語ね」とわかろうもんですが、時そばといやぁ枕が肝心。立ち食いそばとコロッケそば、ウィンナー天に触れる喬太郎師匠の枕は必聴でございますよ!こんなもん聴いてらんねえ、ちょいと立ち食いそば屋に寄ってくらぁ…ってなもんで。
http://www.youtube.com/watch?v=OWEHeI7tdQ4&playnext=1&list=PL3ED87C13D0E72459&feature=results_main

■余談2

全然コロッケそばと関係ないんですが、我孫子駅のホームにある弥生軒に行きたくなりました。
ここの名物は唐揚げそば。ジャイアントな唐揚げがドカンと入ったそばが楽しめます。この唐揚げがコロッケそば同様冷えていて、汁で温めつつ食べるのがたまらないのですよ。通常巨大な唐揚げが1つ入っているのですが、2つ入れると「勢いよく汁が冷める」中、大量の唐揚げが楽しめます。おすすめ。

あと、立ち食いそばに関して非常に楽しい本があるのでおすすめします。グダグダになりつつも愛のある立ち食いそばの話です。


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